韓国外交部の趙兌烈長官。キム・ソンリョン記者

韓国外交部の趙兌烈（チョ・テヨル）長官は２３日、ソウル市内のホテルで「米大統領選挙と韓米同盟」を主題に開かれた「２０２４中央フォーラム」での基調演説で、「米大統領選挙の結果を全く予測できない状況で韓国政府はあらゆるシナリオを念頭に置いて安全保障、経済、産業政策の全分野で米大統領選挙とその後に備えてきた。米連邦政府と議会だけでなく州政府と議会に至るまで接触ラインを拡大し、学界と財界を網羅するネットワークを構築してきた」と強調した。 趙長官は米中戦略競争と関連しては「米中の間で顔色をうかがいながら綱渡り外交をするには韓国の国力と地位はあまりに大きくなり、韓国に対する期待と要求もとても多くなった点を明確に認識しなければならない。長く見れば米中戦略競争の中で韓米同盟の管理は韓国社会が長期ゲームのため短期費用にどれだけ耐える準備ができているかが成否のカギになるだろう」と診断した。 米ブルッキングス研究所のロバート・ケーガン上級研究員は基調演説で「今回の大統領選挙でトランプ前大統領が当選するとしても韓国があわてる必要はない。米国は韓国のような同盟との関係を強化して経済的、政治的、軍事的に能力を拡大しようとしている」と話した。彼は「トランプ氏の浮上後に米国国民は国際問題に対する関与と介入に否定的な態度を見せたが、歴史的に見るとそうしたことは初めてではない。米国人はゆっくりでも世界的に危機が訪れれば結局は関与して積極的に介入するという結論に至る」と説明した。 ケーガン上級研究員は韓米同盟と関連し「韓国は自由主義国際秩序の礎石であり、多くの米国人が韓米同盟の重要性を知っている」と話した。また「トランプ２期政権が現実化すれば貿易分野では韓国には残念な政策を推進するかもしれない」としながらも「ただトランプ氏も中国に対して懸念し、韓米同盟など同盟の重要性をよくわかっている。米国内には韓米同盟に対する超党派的支持がある」と説明した。 ケーガン上級研究員は「米国人は問題が生じても積極的に関与しない場合には深刻な余波があるものと考えれば再び関与する。米国の世論もある程度米国の孤立を望んでいるが、こうした歴史的なパターンが変わることはない」と指摘した。 国際通貨基金（ＩＭＦ）首席エコノミストを務めたカリフォルニア大学バークレー校経済学科のモーリス・オブストフェルド教授は基調演説で「米大統領選挙でトランプ氏が当選する場合、為替相場の変化に弱い韓国がさらに厳しくなりかねない。（トランプ氏は）対米貿易黒字を出す韓国にも関税を上げるだろう」と話した。彼は「トランプ氏がドル安に向け過去の『プラザ合意』のように他国に共同緊縮を説得する」と予想する。トランプ氏が同盟国をはじめとする各国に通貨価値切り上げを圧迫するという意味だ。 オブストフェルド教授は韓国の挑戦課題として▽中国の景気低迷▽半導体供給過剰懸念▽少子化▽家計負債と高い住宅価格▽防衛費分担金再協議問題（トランプ氏当選時）などを挙げた。彼はこれを解決するために「高熟練移民を増やし、有給休暇（出産休暇など）を拡大するなど、より多くの努力が必要だ。結局国の生産性を引き上げなければならない」と強調した。 彼は最近の韓国銀行の基準金利引き下げと関連し「物価が下がり成長が不安なほど基準金利を下げなければならない」としながらも、「政府が住宅価格や家計負債上昇をあおる燃料を提供してはならない。厳格な貸付規制が必要だ」と話した。 ◇趙長官「北朝鮮派兵部隊、行為によって国際刑法の責任伴う」 外交部の趙兌烈長官は２３日の２０２４中央フォーラム基調演説で、北朝鮮軍のロシア派兵問題を指摘した。趙長官は「ロシアが国連憲章と国際法に違反してウクライナへの違法侵攻を持続する限りロシアとの関係を普段のように維持することはできない。北朝鮮も派兵部隊の具体行為により国際刑法上の責任が課される点を明確に認識しなければならない」と警告した。続けて「ロシアと北朝鮮の違法行為を強力に糾弾し、これに対し悪い結果が伴う点を明確にしたいと思う」と繰り返し強調した。 趙長官は最近の北朝鮮の対南威嚇をめぐり、「北朝鮮の体制・安保不安感に起因するもの。北朝鮮が本当に心配すべきことは、存在しない『対北朝鮮敵対視政策』ではなく、広がる自由に対する北朝鮮住民たちの熱望であることを明確に悟らなければならない」と話した。趙長官は「北朝鮮の核・ミサイルが戦略的資産でなく負債になるよう状況を管理していくだろう」と述べた。