タクシー運転手目線で見るトヨタ「JPN TAXI」。コロナ禍で“意外な効力”を発揮した事実が分かった!
■一般車としても活躍できるが、燃料はLPGガス
タクシー車なので燃費も良く、過不足ないデザインでもあることから別の用途にも活かせそうです。たとえば、JPN TAXIをカーキ色にオールペンすればアウトドアシーンでも活躍するかわいいクルマに変身しそうですし、さらにその居住性や積載性を活かせば、積載力抜群のクルマにも。実際、洋服を何着も運ぶスタイリストさんの中には、このJPN TAXIを仕事用のクルマとして使っているケースもあるようです。 ただし、基本設計はやはりタクシー車。その燃料はガソリンではなくLPGガスです。その供給網から考えると、どうしても使える地域が限定してしまうのもまた現実です。 「どのタクシー会社でも契約する特定のLPGガススタンドで給油しています。一度の営業で走る距離もおおむね限られており、これはJPN TAXIになってからも特に不便はありません。燃費・環境への配慮の面でも、今のところタクシー車はLPGガスがベターだと考えています」 他方、近年盛んに進むEV化は実はタクシー業界との親和性は薄いとも。 「環境への配慮だけに注目すれば、確かにEVはベストですし、弊社でも一部取り入れています。 しかし、タクシー業界にとってみると、現状では一度の充電で走れる距離が限られており、一度の営業の時間が短くなります。その充電のために営業できる時間が制限されれば収益が限定されることだけでなく、お客さまが利用される機会も激減します。つまり、結果的に営業効率や利便性を制限することとなるため、まだしばらくはタクシー車のEV化は進まないだろうと考えています。 言い換えれば、現状の全ての面に配慮し、タクシー車として考え尽くされているのがJPN TAXIだと思っています」
■「新サービスの大きなアドバンテージになっています」
近年、日本交通では旧ホームヘルパー二級に該当する介護職員研修などを修了したドライバーによる「サポートタクシー」や、子どもを自宅から学校・塾などを送迎する「キッズタクシー」などを実施しています。 こういった新たなサービスもJPN TAXIだからこそより合理的に実現できていると言います。 「前述のような乗り降りのしやすさ、グリップなどの充実ぶりは新しいサービスにおいても大きなアドバンテージになっていると思っています。JPN TAXIは現状のタクシーではあらゆる面で配慮されたクルマだと思います」
<取材・文=松田義人(deco)>