タクシー運転手目線で見るトヨタ「JPN TAXI」。コロナ禍で“意外な効力”を発揮した事実が分かった!
■「利用者の使い勝手」「ドライバーの運転性」とも合理的
タクシーのドライバーたちにとって特にJPN TAXIが優れていたところは、まず「利用者へのサービスのしやすさ」だったと言います。 「室内空間が広くフラットになっているので、乗り降りをしていただきやすいのが一番のメリットでした。特にセダン型のタクシー車は、車椅子のお客さまへの乗り降りのサービスに苦慮するところがありました。しかし、JPN TAXIであればスライドドアで、車体までの段差をフリーにして乗り降りしていただくこともできます。 室内には手すりやグリップがついており、これらの細部も利用者の方にとって使いやすく感じていただけているのではないかと思います。積載性にも優れており、申し分のないタクシー車だと思います」 もちろん、JPN TAXIの特長は、運転操作の面にも強く表れているとも土屋さんは言います。 「それまでの一部にタクシー車のミラーは、ドアの両脇についたサイドミラーでした。しかし、サイドミラーで後方を確認する場合、『目線』を前方向より左右にズラさないといけません。その点、フェンダーミラーであれば、前方向から少しだけ『目線』をズラすだけで良いです。 また、ブレーキアシストがあったり、ハザードランプをはじめあらゆるボタンなどがハンドル周りに集約されていたりと、ドライバーがすべき操作が省力化されているのもJPN TAXIの利点です」
■図らずもコロナ禍で奏功したJPN TAXIの意外な効力
「2020年東京オリンピック」に向けて開発されたJPN TAXIでしたが、同時期に新型コロナウイルスの感染拡大で、この画期的なタクシー車が活躍する出番はかなり限定されてしまいました。 しかし、それでもJPN TAXIがあったからこそ実現したサービスもあったと言います。 「コロナ禍で一時、タクシーを利用するお客さまは確かに激減しましたが、私どものJPN TAXIには空気清浄機をつけました。利用者の方に安心して乗っていただけたと考えています。 また、コロナ禍が始まったばかりの頃、多くの飲食店さんに営業制限がかかり、逆にテイクアウトやデリバリーなどの需要が増えました。 このときタクシー業界でも『食料品を有償で運んで良い』という認可が下り、タクシーによるデリバリーを行なっていましたが、ここでもJPN TAXIの利点がありました。 セダン型のクルマの場合、トランクスペースと座席が分離されており、トランク内にエアコンなどの空調を入れられないため、食料品が傷んでしまいます。しかし、JPN TAXIはワンボックスでトランクスペースにも冷房などが届き、食料品の劣化を抑えることができました。このJPN TAXIの特長は、計らずもコロナ禍で実感したことでもありました」