渋谷で340円立ち食いそば コンビニ経営から一念発起 創業100年家族3世代【詳細版】
東京のど真ん中、渋谷に人気の「立ち食いそば店」があります。コンビニのフランチャイズを辞め、一念発起した店は、家族3世代で支え合いながら切り盛りしていました。 【画像】計算しつくされたレシピ 衣をたっぷりつけて揚げた自家製のかきあげ天
■コンビニ経営から一念発起
濃い口しょうゆにかつおだし。関東風のかえしに、アツアツのそば。そのお味は? 客 「おいしいです」 「おいしい、最高です」 東京のど真ん中。渋谷・道玄坂近くに立ち食いそば店「みさわ」はあります。 外観はごくごく一般的な店構えですが中に入ってみると、厨房の前にはなぜか商品棚がずらり。コンビニの中にそば店があるような、そば店の中にコンビニがあるような不思議な光景です。 3代100年の歴史のなかで、時代に合わせた進化がありました。 午前7時すぎ。店主の三澤一壽さん(56)は、1時間後の開店を前に黙々と仕込みを始めます。 三澤さん 「(Q.朝は何から始める?)ご飯炊くとか、なんだろう。いつも流れで」 そばの命とも言えるつゆはかつおだしベース。毎日150食出るそば・うどんの準備をしていきます。 渋谷駅から徒歩15分のオフィス街。今から100年ほど前、関東大震災が起こったころ、三澤さんの祖父・孝さんが酒店を開業したのがみさわの始まりです。父・國夫さんが跡を継ぎ、およそ80年にわたり営業を続けてきました。 時代の流れもあり、3代目を継いだ三澤さんは一念発起して2000年にフランチャイズのオーナーとしてコンビニに改装しましたが…。 三澤さん 「いや、すごかったよ。本当に忙しくてやばい。しかもその時は、俺もコンビニ初めてだったから、右も左も分からないし」 ピーク時は昼夜問わず1日1500人もの客が訪れました。やりがいは感じていましたが、24時間営業と売り上げに追われ、身も心も疲れ果てていました。そんななか思い立ったのが、立ち食いそば店への変更でした。
■衣サクサク自慢のかきあげ
朝は出勤前の会社員でにぎわいます。 常連客 「いつも通りおいしいですよ。月曜から金曜まで(来ている)朝、会社行く前にね」 コンビニ時代の客も大切にしたいと、そば以外にもニーズが高い商品を多く並べています。コーヒーやたばこを購入する常連客も次々にやってきます。 午前10時、朝の営業が落ち着いてから仕込むのは、ニンジン、タマネギ、小松菜を使った自家製のかきあげです。ボリュームをもたせるために、衣をたっぷりつけて揚げていきます。 三澤さん 「(Q.こだわりはある?)いや、あんまり。ただ見た目をきれいに揚げたい。野菜はあまり(温度が)高くないように」 三澤さんは謙遜しますが、150℃ほどの低温でじっくり揚げることで、しみこんだ油がつゆに溶け出す、計算しつくされたレシピです。 正午に近付くと、店内は近くで働く人たちでいっぱいに。すると頼もしい助っ人が2人。笑顔が眩しい看板店員は、店主・三澤さんの三男、大学生の息子・壽生さん(20)です。 店主の母・典子さん、御年85歳も厨房に立ちます。ランチタイムは家族に加え、パートのスタッフも加わり、繁盛店を支えます。三男が店に立ってくれることについては、次のように話しました。 三澤さん 「助かる感はあるよね。あうんの呼吸というか、それがお互いできるから。それはすごくやりやすい」 みさわ一番の人気のメニューはかけそば。関東風の自慢のかえしに、特注のゆで麺。これにかきあげをトッピングして500円です。 味だけではなく、忙しいビジネスパーソンのため、30秒以内でのスピード提供も人気の秘密です。 客 「(かきあげは)カラッと揚がっていておいしい。千円札だと足りないところが多いので、うれしいです」 「おいしいです。午後も頑張れます」 「安いですね」