犬のストレスが原因で問題行動や病気をまねくことも!? 獣医師が詳しく解説
犬はストレスが過剰な状態などが続くと、問題行動や病気をまねくおそれがあるので注意が必要です。そこで今回は、犬のストレスが引き起こす問題行動や病気などについて、獣医師の藤本聖香先生に詳しく解説していただきました。 【写真】ソファの上であくびをする柴犬
犬は過剰なストレスが原因で問題行動を起こす
犬は“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンによって、精神的な安定が保たれていると考えられています。 しかし、ストレスが強すぎたり、繰り返しストレスにさらされたりすることで、ストレスホルモンが過剰に分泌されると、セロトニンの働きを抑制してしまい、その結果、精神的な安定が保たれなくなり、問題行動を起こすことが。 どのような問題行動を起こすのかは犬によって異なりますが、攻撃的に激しく吠える、うなる、クッションなどを破壊するなどの行動が例として挙げられるでしょう。
犬の問題行動がエスカレートすると……
問題行動をそのままにしてストレスにさらされ続けると、しっぽを繰り返し追いかけるなど、繰り返し意味のない行動を起こす「常同行動」や、石やプラスチックといった食べ物以外のものを食べる「異嗜(いし)」という心の病気にかかってしまうことも。このような症状が見られたときは、すぐに動物病院に相談し、治療をする必要があります。
ストレスが原因で免疫力が低下するとあらゆる病気をまねくおそれも
ストレスによって病気を引き起こすこともあります。 ストレスが原因となる病気として多いのが、自律神経が乱れることに起因するおう吐や下痢などの「胃腸炎」や、気持ちを落ち着かせようと体をなめ続けることで起こる「皮膚炎」です。そのほか、ストレスによって免疫力も低下するので、「膀胱炎(ぼうこうえん)」や「感染症」など、あらゆる病気にかかりやすくなります。
軽度のストレスサインを見逃さないで
なお、こういった問題行動や病気を引き起こす前に、軽度のストレスサインが見られることがあります。 気づきやすいものとしては、あくびをする、体をブルブル振る、鼻をなめる、体をかく、目をそらすといった「カーミングシグナル」と呼ばれるサイン。何の脈絡もないときにこのようなサインが見られたら注意が必要です。 このほか、犬はストレスを感じると「やる気をなくす」といった、“うつのような状態”になることも。愛犬の健康のためにも、些細なストレスサインを見逃さないよう、日ごろから気を付けたいですね。 お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師) 参考/「いぬのきもち」2024年10月号『対策急務! 人に置き換えてそのヤバさがわかった じつはしんどい 犬のストレス』 文/長谷部サチ ※記事と写真に関連性がない場合もあります。
いぬのきもちWeb編集室