三流は「前も言いましたよね」と怒り、二流は自分を正当化…「伝わらない」とき一流が最初にかける言葉
■「わたしたちは悪くない」という無意味な主張 ただ、この「謝る」ことを先にできない人も結構多いと感じることがあります。みなさんもビジネスにおいて、こんな言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。 「自分たちは先に伝えている」 「ずっと周知し続けていたはずだ」 「チャットにしっかり書いているんですけど」 実にさまざまな言い方がありますが、つまるところ、「わたしたちは悪くない」と言いたいわけです。 特に、情報の発信側は、つい「先に伝えた」「ここに書いている」と言いたくなりがちですが、こうした言葉の応酬が、コミュニケーションのミスや断絶を生む典型的なパターンなのです。 ■「どちらが正しいか」よりも「話が伝わっているか」 ここでお伝えしたいのは、コミュニケーションは、「相手に伝わっていない時点で負け」だという事実です。 なにかを指摘されると、つい感情的になり、自分たちを正当化しがちですが、主観や感情を盾にして頑(かたく)なに謝らないでいると、ビジネスにおいては、結果、手がつけられないエラーにまで発展する可能性もあります。 もちろん、どんな場合も謝ればいいというものではないし、謝罪を強制するのはハラスメントです。 ですが、あきらかなコミュニケーションの齟齬があるにもかかわらず、それに対して「わたしはちゃんとやっています」と返すのは、残念ながらコミュニケーションとしては0点の対応と言っていいでしょう。 「ビジネス会話」では、どちらが正しいか、正しくないかではなく、まず「伝わっているか、伝わっていないか」にフォーカスすることに注意しましょう。
■「質問」から道が拓けていく コミュニケーションミスがあきらかになったとき、僕なら、「すみません、それはご迷惑をおかけしました」と謝ったうえで、まず相手に「質問」します。 「なにがわかりづらかったですか?」「いつ頃からその状況でしたか?」というふうに、できる限り情報を得るようにします。 その情報は相手の主観がベースになっているかもしれませんが、それを頭のなかで差し引きながらも、まずは「なにが起きているのか」についての情報を集めるプロセスが必要なのです。 そうすることで、相手との溝が少しずつ埋まっていく場合もあれば、「こうすればよかったですね」と新たに提案できることもあります。 場合によっては、どちらかの非を認めることで、ものごとを先の解決のプロセスへと進めることもできるでしょう。 ■「相手の論理」を知る必要がある 大事なのは、コミュニケーションの齟齬が起きたときは、いきなり自分たちの言い分や反論を伝えるのではなく、相手から情報を引き出すことに集中することです。 これにより、ビジネスで対立構図に陥りそうなときでも、状況を整理でき、適切なアクションへ導くことができます。仮に、相手が攻撃的な対応をしてきた場合は、なおさら情報を集めてリスク管理をすることが重要な対応になります。 質問するという行為は、相手の考え方やユーザーの視点、実際に体験した人たちの感覚がどのようなものかを確かめることだと言えます。自分の頭ではわからないからこそ、相手に聞いて、相手の論理を知る必要があるのです。 とにかく、感情的になっていいことなどほとんどありません。つい、「わたしは悪くないよ!」という気持ちになるときもあるかもしれませんが、そんな状態になったのは、むしろいい情報を集めるチャンスだと捉えましょう。