市役所職員より教員の給与が高いってホント? “年収の差”と“教員ならではの手当”とは
教員と市役所職員はどちらも公務員で、安定志向の方の就職先として人気の職業です。しかしそれぞれの年収を比較すると、教員のほうが高いと耳にしたことのある方もいるのではないでしょうか? そこでこの記事では、公立小学校や中学校・高校・大学などの教員と市役所職員の年収、ほかの職業にはほとんどない、教員ならではの手当についてご紹介します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
教員と市役所職員はどちらの年収が高いのか
総務省の発表している「令和4年地方公務員給与実態調査」によると、教員や市役所職員(一般行政職)など地方公務員の給与額は以下の表1のようになります。 表1
※総務省「令和4年地方公務員給与実態調査」を基に筆者作成 もっとも年収が低いのは一般行政職で、もっとも高い高等専門学校教育職は一般行政職より232万円ほど多い年収です。 教員はもともと、人材確保法(学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法)により、一般の公務員よりも給与面で優遇されることが定められています。
教員が受け取る手当の内訳
一般企業に勤務する方でも、住宅手当や交通費・扶養家族手当などさまざまな手当があります。教員の受け取る給与にも、同じようにいくつかの手当が加算されています。教員独自の変わった手当もあるため、確認してみましょう。 ■教職調整額 「教職調整額」とは、校長や教頭を除いた教員が対象となっている手当です。 教員には、時間外手当や休日手当を支給しない代わりに教職調整額が設定されています。給料月額(給与月額から諸手当を除いた額)の4%が支払われます。 ただし、教職調整額は公務員の残業代と比べても著しく低いため、現在見直し方策について協議されています。 ■義務教育等教員特別手当 「義務教育等教員特別手当」は「優秀な人材の確保」を目的とした手当です。「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」第3条に基づいて支給されます。 対象となるのは、次に勤務する教育職員と実習助手・寄宿舎指導員です。 ・小学校 ・中学校 ・義務教育学校 ・高等学校 ・中等教育学校 ・特別支援学校 手当の額は、支給対象者によって異なります。 ■教員特殊業務手当 「教員特殊業務手当」は、授業など通常の業務以外の業務が発生した際に支払われる手当です。具体的には、次のような場合に支給されます。 ・修学旅行等指導業務(8時間程度):1700円 ・対外運動競技等引率指導業務(8時間程度):1700円 ・入学試験業務(8時間程度):900円 ・部活動指導業務(4時間程度):1200円 ・非常災害時等の緊急業務(児童生徒の保護または防災・復旧業務)(8時間程度):3200円 ■各種役職手当 教員も役職が付く場合は、役職手当が支給されます。 「教育業務連絡指導手当」は、「主任手当」のようなもので日額200円支給されます。ひと月20日勤務すれば、4000円です。「管理職手当」は、校長および教頭に支給される手当で、勤務する学校の規模などにより、支給額が異なります。