「仕事でヘトヘト」に「家でゴロゴロ」は逆効果…自律神経の専門家が疲労感を和らげるために帰宅直後にやること
■「マスク」で顔の筋力が衰えてしまう 最近不調だなと感じているなら、ぜひガムを噛んでほしい。コロナ禍がもたらした弊害の中でも、高齢者にとってとくに深刻なのが、マスク習慣による顔の筋力の低下です。 コロナ禍が収束してもなお、マスクをしている姿を目にします。歳を重ねるほど免疫機能が低下するので、予防のため自衛していたり、コロナやインフルエンザウイルスの罹患によって持病が悪化するのを防ぐためであったり、マスクを使い続ける理由が人それぞれにあると思います。 しかし、マスクをしていると、どうしても口を大きく動かすことがなくなり、顔の筋力は衰えます。コロナが流行し始めてから、仮面様顔貌(かめんようがんぼう)といって、まるで仮面でもつけているかのように表情が動かなくなってしまった人が増えています。 コロナ禍が収まった現在になっても、「滑舌が悪くなった」「口元が緩んでよだれが垂れることがある」などの症状を訴える人も増加傾向にあります。それらの症状から、自分は認知症ではないか、脳梗塞など何か脳の病気の前触れではないのかなど、自身の健康を心配して受診する人もたくさんいます。 しかし、ほとんどのケースで検査をしても問題は見つからず、何年にもわたるマスク生活の弊害からくる筋力の緩みが原因の方がほとんどです。 私もマスク生活によって、滑舌が悪くなったり、声のハリがなくなったり、顔の表情筋が衰えてしまった一人です。マスクをすることがすっかり習慣になっていると、マスクなしで外出することがどうしても怖くなりますよね。 マスクを外したくないから外出は控えるとなっては本末転倒。人は行動することでしか変われないので、外にどんどん出ていただきたいのです。 ■「ガム」や「グミ」が効果的 では、どうするのかといったら、マスク着用で衰えた筋力をカバーする習慣を持つことです。大きな口を開けて、「あ、い、う、え、お」とはっきり大きな声で言うようにするのもいいですが、おすすめはガムを噛むこと。 ガムを噛むことにはいくつものメリットがあります。場所を問わず、いつでも、ほかのことをしながらでも噛めること。ガムを噛んでいる間は、無意識のうちに顔の筋トレができるので、わざわざ筋トレをしようと思って臨むよりもハードルが低くなること。 顔の筋トレになることで顔周りの血行がよくなるだけでなく、脳の働きもよくなり、認知機能低下の予防が期待できます。 それに、ガムを噛むことは、一定のリズムを刻むリズム運動。リズム運動によって幸せホルモンと言われるセロトニンが分泌されますし、このホルモンは自律神経のバランスが整うように働きかけてくれます。 さらに唾液の分泌もよくなります。唾液中には免疫物質IgA(アイジーエー)があり、この分泌量がガムを噛むことで、2.5倍になるという研究結果があります。免疫機能が向上すれば感染予防に役立ちますし、口の周りの筋肉を動かすことは認知症予防や誤嚥性肺炎予防にもつながります。 私自身、滑舌が悪くなってからは、いつも持ち歩く鞄の中に必ずガムを入れておき、気づいたときにいつでも噛めるようにしています。一定のリズムで噛むことが重要なので、いろいろな味や食感を楽しみたい人はグミも効果的です。