「仕事でヘトヘト」に「家でゴロゴロ」は逆効果…自律神経の専門家が疲労感を和らげるために帰宅直後にやること
■寝る前に「明日すること」をイメージする あれをしようかな。これをしようかな。ぐずぐずと考えている間に、結局、何もせず一日が終わってしまった。そんな日は自己嫌悪に陥ったり、何もしていないはずなのに疲労ばかりが蓄積されたりと、何だかパッとしないもの。 もしかしたら、何もしないで一日が過ぎてしまうことが多い人は、その日になって何をしようかと考えているのではないでしょうか。 私は、「今日、何しよう」と考えるのではなく、「明日、何をしよう」とぼんやりとでもいいから考えておくようにしています。明日の自分をイメージするきっかけ作りのために、布団に入る前に翌日の天気をチェックしています。これが、案外大事。 明日の自分がどう過ごすかをイメージしながら、明日の服装や、持ち物を前の晩に用意しておくのが日課となっています。これで翌日の選択や迷いがなくなり、天候に合った服の袖にすぐ腕を通せるので自律神経も安定します。 布団に入ったら目を閉じて、明日の行動をイメージします。簡単なことですが、脳内で明日の自分のリハーサルを行っておくと、翌日、スムーズに動けるような気がするのです。明日の準備をしながら今日を感謝する時間は、一日の中で一番ホッとできる、私にとっての癒しの時間です。 ■朝起きたら「今日すること」を声に出す 朝はカーテンや窓を開け、「おはよう!」や「頑張るぞ!」と大きな声を出すのが日課。 その後、昨夜のうちに考えていた今日のスケジュールを思い返します。朝は一日のリズムを決める大切な時間なので、大きく伸びをしたり深呼吸をしたりしながら、今日の行動をイメージしましょう。 今日はあれもしてこれもしてと欲張るよりも、「今日は、ベランダの掃除をしよう」「○○さんに連絡をするぞ」など、何か一つを決めたら、これまた声高らかに宣誓します。 声にきちんと出したほうが記憶に残りやすく、実際に日中の行動につながりやすいというのが私の実感。声出しをすることで朝にきちんと交感神経のスイッチが入り、何をしたらいいかわからない、なんとなくダラダラしてしまうということを防げます。 とくにやることがないときも、「1時間だけ○○をする」ことを決めています。1時間だけ本を読む、整理整頓をする、ドラマを集中して見るなど、時間を制限して行動に移すことで、「やり遂げた」という達成感が得られます。 毎日、何もすることがなければ、自分でやるべきことを作ればいい。私なんて誰に頼まれてもいないし、誰からも指摘されていないのに、今、3カ月後を目標にゴルフのスイングの改善に取り組んでいます。 楽しんで取り組める目標を作って、日々の自分に充実感をプレゼントしていきましょうよ。 ---------- 小林 弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授 1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても有名。近著に『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)、『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)『眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話』(日本文芸社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。 ----------
順天堂大学医学部教授 小林 弘幸