56歳で3児の父になった漫画家。「月収10万円台の月もある」けど「将来が明るくなった」わけ
高齢&晩婚化で50歳を過ぎて子宝を授かる男性が増えている。体は衰え、稼げる時間は限られ、親の介護リスクに頭を悩ませる……。そんな高齢パパの奮闘と葛藤を追った。 ⇒【画像】子育て絵日記と漫画をnoteにアップし続けている
シングルマザーと結婚して2女のパパに
【高齢パパの家族構成】 渡辺さん(62歳):漫画家 妻(46歳):会社員 長女(14歳):中学生 次女(10歳):小学生 長男(5歳):幼稚園児 「昔は、子どもってうるさい生き物だなとか思ってたんですけどね(苦笑)」 こう話すのは55歳でシングルマザーと結婚し、突如2女のパパになった漫画家の渡辺電機(株)さんだ。その翌年には長男を授かり、還暦で3人の子どもを育てている。 「結婚したのは’18年。妻は大阪在住だったので、先に長女だけ小学校の新学期に合わせて私と2人で東京暮らしを始めました。そこで初めて子育ての現実を知った。一人増えるだけで食費や衣服代などで、どんどんお金が減っていく。長女はADHDで、放っておくとガスコンロに火をつけてどこかに行ってしまったりするから、目が離せなくて仕事の時間も取れなかった」
2人の娘は癒やしにもなった
突如できた2人の娘は渡辺さんの癒やしにもなった。 「離婚を経験しているから2人は『父親はいなくなるもの』と考えてた。だから、僕がふざけて走りだすと『行かないで』と必死に追い駆けてくる。その姿が愛おしくて仕方がない。最初は血が繫がってない自分が、小学生の娘を風呂に入れたりしていいのかなどと悩んだけど、娘はまったく警戒せず、全力で依存してくれた。背負う子育ての責任は重いものでしたが、とてつもなく心地いいものだった」
突如、父親が認知症に…
だが、渡辺さんが見るべきは子どもだけではなかった。 「’21年に父が認知症を患って、要介護状態になり、直後に母が心不全で倒れて1か月後に亡くなった。一人になった父の様子を見に行けば、排泄物をつけたまま廊下で寝ていたりしていて見るのも辛かった」 渡辺さんの漫画家としての収入は月によりまちまち。電子書籍の売れ行き次第で月10万円台ということもあるが、父の介護が転機をもたらした。 「昨年、父が施設に入ることを了承してくれたんです。それを機に空き家になった実家へ家族5人で引っ越すことに。持ち家だから金銭的な負担が減ってありがたかった」