ハイオクを入れるとエンジン内部がキレイに……は単なる噂! レギュラー仕様にハイオクを入れても問題はないが意味も「ほぼ」なかった
レギュラー仕様にハイオクをいれるのは意味のない行為だった
ハイオクにはエンジン清浄剤が入っているというのはよくいわれること。ほとんどのブランドで結局入っていなかったと問題になったが、その昔はCMでも清浄剤入りをアピールしていて、シリンダー内部の写真で比較していたりした。このイメージがあって、いまでもエンジン内部をクリーンにするためにレギュラー指定だけど、ハイオクを入れているという人がいたりする。 【写真】最近はほとんど見ないかも!? 吊り下げ式の給油機とは まず気になるのが、虚偽問題は別にして、なぜハイオクにしか清浄剤は入っていないのか。ちなみに一時はハイオク同様にレギュラーにも入っているというのをウリにしていたブランドがあったが、しばらくしたらやめてしまった。それは別にしてハイオクにしか入っていないのはハイオクのほうが汚れやすいから。ハイオクはレギュラーよりも耐ノッキング性能が高いのが特徴で、そのため点火時期を早めることができてパワーがアップする。スポーツカーを中心にハイオク指定なのはこのためだ。 そうなるとイメージとしては、レギュラーになにかしらの添加剤みたいなものを足してハイオクにしているのかと思ってしまうが、そんな単純ではなくて耐ノック性能向上のために成分的にもかなり違っている。その違う部分ゆえにハイオクはエンジン内部がススで汚れやすく、その対策で清浄剤を添加していた。 つまり、レギュラー仕様だけどエンジン内部をきれいにしたいからハイオクを入れるというのはかなり微妙な行為。そもそもガソリンに添加する量は厳しく決められていて、清浄剤はほとんど入っていなかったので、なおさら意味がない。 現在、ほとんどのハイオクに清浄剤が入っていないのはこれが理由だし、エンジンの制御がさらに緻密になり、より完全燃焼に近づいてススが出にくくなっているなどの理由がある。 また、清浄剤が結局は入っていないと問題になった背景には、ブランド間でのバーター取引がある。これは製油所が近いところが他ブランドへの供給も受けもつというもので、そうなると性能の平均化が起こって清浄剤が入っていないほうに合わせることになり、添加が減ったというのもある。 内部に汚れがどれだけ発生するかは走り方にもよるし、エンジン内部の汚れを落としたいなら専用の燃料添加剤を用法を守って使ったほうがいいだろう。 ちなみにレギュラー仕様にハイオクを入れると制御が狂って壊れるという意見もあるが、とくに問題はなく、仕様上は発熱量がハイオクのほうが少しだけ大きいので、ごくわずかだがパワーアップはする。価格差を考えると意味がないことではあるが……。
近藤暁史