人事パーソンのリアルな悩みが表れた、『シン・人事の大研究』読書会
● 人事パーソンの仕事と組織において大切なこと 休憩を挟んで、2回目のグループトークが行われた。テーマは、「自己の学びやキャリアに関して、いま実践していること、これから実践すること、悩みごとを共有しましょう」というもの。 1回目と同じグループで、今回も15分間のトークが繰り広げられた。終了時間になってもなかなか終わらず、司会進行の広瀬さんが、「盛り上がっているところを止めてしまい、申し訳ありません」と言うほど、どのグループも話が尽きない様子だった。 続く、著者への質疑応答の時間では、会場からの挙手に加え、オンラインの参加者からも質問が寄せられた。その1つが、「人を適材適所に配置し、マッチングさせるためにはどのような方法がありますか?」というもの。中原先生は、「本人が自分の強みを認識できていない場合は、上長が強みを伝えてあげることが大切で、一人ひとりが自分の強みや課題を理解した先にマッチングがあるのではないか?」と答え、「人に話を聞いてもらうことが、自分の強みに気づくきっかけになる」と、長谷波さんが続けた。 「日々のオペレーションや目の前の課題に追われて、 中長期なことができない」という悩みに対しては、田中先生が、限られたリソースの中で“何を優先するか”という判断の大切さを説き、中原先生も「リソースは常に足りないもの。プライオリティをつけることで、行うべき仕事をやり切る力が出てくる」と答えた。そして、先生たちの発言を受けて、広瀬さんが、「これまでやってきたことをやめられないというケースは、書籍(『シン・人事の大研究』)の中にも書かれています。『やめる勇気』が必要なのでしょうか?」と、先生たちに問いかけた。 会場の参加者から最後に出た、人事パーソンとしての“胆力”の鍛え方についての質問と著者3人の回答も興味深いものだった。田中先生は、「パーソナリティなところはあると思うが、胆力は後天的に鍛えられるはず。自分が矢面に立つような経験をすると、胆力は自ずと鍛えられるのでは?」と答え、長谷波さんが「経験を積んで強くなっていった人たちはたくさんいます」とコメントを加えた。そして、中原先生は、「いろいろなことをいったん受容して、自分で立て直してから相手に働きかけていくと体幹が鍛えられ、何が起きても動じないようになるのでは?」と言い、「上司は、そういうときにタオルを早く投げすぎるのかも……」と続けると、会場に共感の空気が広がった。経験を積めば、さまざまな状況に対応できるようになること、上司は、長い目で(部下である)人事パーソンの成長を見守ること――この2つは、人事部に限らず、組織において大切なことだと、私は理解した。