【阪神】近本光司 1年契約で来季FA取得も…フロントが事前に見せた誠意の〝異例待遇〟
〝異例待遇〟の背景とは――。阪神・近本光司外野手(30)が10日に兵庫・西宮市内の球団施設で契約更改に臨み、5000万アップの年俸3億7000万円でサインした。球団からは複数年契約が提示されたが、単年での契約となった。このまま順調にいけば、来季中に国内FA権を取得。そんな虎の安打製造機を全力で引き留めるべく、球団側は水面下で早々と動き始めている。 近本が〝虎の頂点〟に君臨することになりそうだ。来季の年俸はFA権を行使した大山の年俸3億4000万円を超える球団最高額に達するとみられている。それでも契約更改後の会見で「金額はそこまで気にすることではないので」とキッパリ。その上でV奪還を目指す来季に向けて「チーム一丸となって優勝できるように頑張りたい」とも述べ、表情を引き締めた。 今季は4年連続でGG賞&ベストナインに輝き、通算5度目となる盗塁王のタイトルも獲得。順調にいけばプロ7年目となる来季中に国内FA権を取得する見込みで、球団からは複数年契約のオファーを受けたものの「球団の考えも理解しましたし、複数年のメリットよりも単年の方がいいと感じたから単年にしました。1年で勝負したいと思いました」。自ら単年契約を選んだことを明かした。 その一方で、球団側は11月末に「阪神タイガースカレンダー 2025(壁掛けタイプ)」を販売。1月は藤川監督、4月は岩崎と大山、5月には佐藤輝と中野、森下が〝サンコイチ〟で掲載された。だが、近本は3月のページを1人でジャックし、来年の球団公式カレンダーでは選手として唯一ソロでの登場。まさに「球団の顔」として扱われている。 今年の公式カレンダーは岡田前監督に加え、岩崎、大山、近本の3選手がピンでの掲載だった。それだけに来年の近本は〝異例の待遇〟と言い切れるだろう。入団から6年連続でタイトルを獲得し、ファンからも愛されている虎の背番号5。だからこそ万が一、FAで他球団に移籍となるとチームにとっては大きな痛手となる。カレンダーのソロ抜てきは、何としてでも流出を阻止したい球団側の〝姿勢〟および〝誠意〟の表れとも受け止められる。 実際にこの日、囲み取材に応じた嶌村球団本部長も「非常に追求型の選手。安定した期間があった方がいいのかなと思い、複数年を提示しました」と説明。そして「ファンの方もわれわれも、タイガースの近本という思いがありますし、それだけ(チームに)いてほしい選手」と力説した。 毎年ハイレベルな成績を残し、チームをけん引する虎の功労者へ熱い思いが届くことを願うばかりだ。(金額は推定)
奥中佑佳