年金夫婦で「月28万円」もらえるはずが…同い年の夫を亡くした65歳・共働き妻、年金事務所の窓口で告げられた〈衝撃の遺族年金額〉に絶望「こんな仕打ち、ありますか?」【FPの助言】
遺族年金の受給権が発生すると繰下げ受給ができない
納得がいかない金田さんですが、現実を受け入れるしかないと思い直し、職員にこう尋ねました。「それでは、繰下げ受給をして年金額を増やすほうが得策ですね」 しかし、職員は慎重にこう答えます。「遺族厚生年金の受給権が発生すると、繰下げ受給を選択することはできなくなります。それがたとえ遺族厚生年金を受給できなかったとしてもです」 その言葉を聞いた金田さんは一瞬あっけにとられ、思わずつぶやきました。「信じられない……遺族年金も受け取れないうえに、繰下げ受給もできないなんて」 まるで八方塞がりのような状況に、金田さんは深くため息をつきます。そして、「これから私は月11万円で生活していかなければならないのね……。40年以上必死に働いてきて、老後にこんな仕打ちが待っているとは思わなかったわ……」と、絶望感に打ちひしがれたのです。
遺族年金の概要
遺族年金は配偶者などの遺族に支給される年金で、主に「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分かれます。以下でそれぞれの特徴をみていきます。 遺族基礎年金 遺族基礎年金は、遺族に18歳未満の子どもがいる場合に支給される年金です。遺族年金の受給額は子どもの人数によって異なり、2024年時点の受給額は以下のとおりです。 816,000円+子どもの加算額23万4,800円 子ども2人目:加算額23万4,800円 子ども3人目以降:加算額7万8,300円 例えば、夫が亡くなり18歳未満の子どもが2人いる妻の場合、基本額は81万6,000円、子ども1人目が23万4,800円、子ども2人目が23万4,800円で合計128万5,600円を受給できます。 遺族厚生年金 遺族厚生年金は、厚生年金加入者または加入していた人が亡くなった際に遺族に支給される年金です。 65歳以上で老齢厚生年金の受給権がある人が、配偶者の死亡によって遺族厚生年金を受け取る場合の計算方法は以下の通りです。 ・死亡した配偶者の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4 ・「自身の老齢厚生年金の1/2」と「亡くなった配偶者の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額の2/3」の合算額 上記の2つの金額を比較し、どちらか高いほうが遺族厚生年金の支給額となります。 今回の金田さん夫婦に当てはめてみると、夫の老齢厚生年金は33万円、妻の老齢厚生年金は55万円となり、計算式に当てはめてみます。 【死亡した配偶者の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4】 35万円×3/4=26万2,500円 【「自身の老齢厚生年金の1/2」と「亡くなった配偶者の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額の2/3」】 55万円×1/2+35万円3/4×2/3=45万円 26万2,500円<45万円 よって、45万円が遺族厚生年金の支給額となります。 しかし、実際に金田さんが受給できる遺族厚生年金は「45万円から、妻の老齢厚生年金額55万円を差し引いた金額」です。つまり、差し引きゼロとなるため、妻のまりさんは遺族厚生年金は受給できないことになります。
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