両親がそろっている家庭ばかりじゃない。保護者会での経験から思う「多様性の時代」に大切なこと【シングルファーザーのひとりごと】
憤りを感じながら、シングルファーザーであることを開示
でも、それを気にすることを誰かから強制されたわけではなく、自らしていたことなので、そんな場面はたいした苦ではなかったのですが、とある出来事で僕は憤りを感じながら、シングルファーザーであることを大勢の前で開示したことがあります。 それは保護者の懇親会。参加者は50人以上で、僕の地域では参加人数が割と多い会でした。このときは夫婦で参加している家庭が多くいましたが、僕は当然ひとりで参加をしていました。会が始まると参加者全員が順番に自己紹介をしていき、僕にその順番が回ってきた時です。 僕が「~です。よろしくお願いします」と自己紹介をすると、会の司会者が「奥さんはどこにいますか?」と聞いてきました。僕は苦笑いをしながら「今日はいません」と返答すると、司会者は「あなたじゃなくて奥さんが来なきゃ。次は奥さんを連れてきてくださいね」と・・・・・・。僕は表情や声のボリュームは変えませんでしたが(おそらく・・・笑)、 「娘が3歳のときに死んでしまったので、今後も連れてこられないです。私だけなら参加しないほうが良いですか?」 と、内心は深く憤りを感じながら言いました。司会者は焦った表情でしどろもどろになり、その場は何とも言えない気まずい雰囲気に変わってしまいました。 また、学校のクラス役員を決める会議でも似たようなことがありました。 たまたま教室のいちばん前に座っていた僕に、進行役が「やっぱりくじ引きで決めるより立候補がよいので、お父さん、やってみませんか?」と聞いてきたので、僕は苦笑いしながら「いやぁ、ちょっと・・・」と返すと、「勝手に引き受けると、奥さんに怒られるからダメですかね?」と更に問いかけてきました。 僕はこの時も内心は腹が立っていましたが、そこは上記の懇親会で気まずい雰囲気になった経験を思い出して、妻のことには触れずに苦笑いしたままでやり過ごしました。
多様性の時代といわれる今だからこそ
このときの司会者や進行役の方に悪気がなかったことは理解できますし、場の雰囲気が気まずくなったのは、僕の言い方がよくなかったからかもしれません。 でも、両性の親ふたりが揃っている家庭だけではないことや、それぞれの家庭によって家族のあり方や状況が違うことを少しでも考えたり、想像したりしてほしいと感じた出来事でした。 特に多くの人が集まる場では、一般的な多数派を中心にした方向へ、話題や議論が進んでしまう傾向になりやすいと思うので、その場で目の前にいる相手の背景を想像しながら話をすることは、非常に大切だと思います。 また、多様性の時代といわれる今だからこそ、そんなことを意識することがますます重要になってくるでしょうし、それが思いやりで溢れる、みんなが生きやすい世の中へ繋がっていくような気がします。 単なる僕の経験から、なんだかスケールの大きい話になってしましましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 すべての親子が幸せでありますように!
文・構成/ひまわりひであき