大股で歩く、アプリで聴力チェック… 認知症予防のためにすぐやるべきこと7選
脳に限ってはたばこよりアルコールがだめ
【お酒の量を減らす】 脳に限っては、たばこよりアルコールの方が害が大きい。アルコールは神経毒であり、神経伝達物質アセチルコリンの働きを低下させます。アメリカで行われた大規模な研究では、60歳の脳の萎縮度合いは、大きい順に「大量に飲んでいる人」→「大量に飲んでいたがやめた人」→「少量だけ飲む人」→「酒を飲まない人」だったとの結果でした。 アルコールは睡眠の質を低下させます。食事の摂取量が増え、肥満になりやすくなる。塩分や脂肪分の多いものをつまみとして取りがちになり、高血圧、糖尿病、脂質異常症のリスクを高めます。いずれも、認知症のリスクを高める要因です。 理想は、休肝日を作る。適正飲酒量(1日平均純アルコールで20グラム程度。ビールならロング缶1本)にとどめる。しかしお酒を飲むのが習慣化している方には、いきなりは難しいかもしれません。とにかく、今飲んでいる量より1割でもいいので、減らすことから始めてみませんか? まずは上の7項目から。「暇ができたら」などと思わず、読んだらすぐ、行ってください。 新井平伊(あらいへいい) 順天堂大学医学部名誉教授。2019年よりアルツクリニック東京院長。1999年、日本で初めての「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。アルツクリニック東京では、世界に先駆けてアミロイドPET検査を取り入れ、また、認知症発症前の人を対象にした健脳カフェを開くなど、「認知症にならない・進行させない」に取り組む。 「週刊新潮」2024年3月7日号 掲載
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