圧倒的なプレーだけじゃない!久保建英に現地ソシエダ記者が虜になる本当の理由:ゴール後に語った洪水被害と恩師へ思い
その振る舞いも「クラック」
その後も久保が攻撃を牽引したラ・レアルは、68分にマルティン・スビメンディがPKを獲得し、キッカーのミケル・オヤルサバルがこれを決め切って加点。2点のリードを守り切って、2試合ぶりの勝利を取り戻した。久保はもちろんマン・オブ・ザ・マッチだったが、その後にスペインでこの試合を放送した『モビスタール・プルス』とのインタビューで話した内容も素晴らしかった。 スペインは今、バレンシアで起こった大雨・洪水に苦しんでいる。死者は200人以上で、行方不明・連絡が取れない人は2000人を超えた。ガソリンや食品……などを飲み込んだ泥水は日にちが経つに連れてその異臭を強烈なものとし、現地の人々は24時間体制で、地下などの空間を満たしているそんな泥水を必死でかき出している。 スペインにおける今世紀最大の災害を受けて、久保が思い出したのはマジョルカ時代の恩師ビセンテ・モレノ(現オサスナ監督)だった。バレンシアの中でも被害が大きいマサナサ出身の彼は、前日に行われた記者会見で悲しみの涙を抑えることができず。久保はそんなモレノや日本の災害について触れながら、今回の悲劇から感じる心の痛みを物語ったのだった。 「個人的な話をさせてもらえば、何よりビセンテ・モレノのことを考えて、とても心配しています。彼は僕の監督……本当に晴らしい監督でした。自分がラ・リーガ1部に定着するためのすべてを与えてくれた人です。そんな彼の生まれた地域が今、とても辛い状況にあります。彼の記者会見を見て、本当に胸が痛みました」 「日本も数年前に似たような悲劇に苦しみました。バレンシアなどの地域が辛い目に遭い、人の命が失われている……悲しみにたえません」 久保がマジョルカで、モレノの指導を受けてからもう5年の月日が経った。しかし彼は恩を忘れていない。そしてそれはきっと、未来にイマノルに対して思う気持ちでもあるのだろう(日本で彼がバッシングされているのは知っている。だが私たちサン・セバスティアンの人々にとって、クラブの生え抜きである彼は大切な存在で、久保も結局のところ信頼しているのだ)。 先には「僕がラ・レアルを引っ張りたい」という発言もあったが、絆を本当に大切にするからこそ、久保は私たちが気持ちを注ぎたい、愛したい選手なのである。モレノに言及した後、「今日の自己採点は揺るぎない8点です。いい感じだったでしょ?」「もう先発落ちは勘弁? 選手はレギュラーの座を、しっかりつかまなけいといけません。まあ次節も、僕は生き残っていると思いますよ(笑)」とギャップを見せたのも最高だった。一体、どこまで「クラック」だというのだ! ラ・レアルの今後の予定だが、ミッドウィークにはヨーロッパリーグのヴィクトリア・プルゼニ戦(アウェー)に臨み、週末にはアノエタにバルセロナを迎える。一つ言えるのは、イマノルが試行錯誤を繰り返す現状でも、久保は絶対に欠かすことができないということ。何よりも古巣のバルセロナ戦は、彼がその途方もないポテンシャルと成長ぶりを示すべき一戦となるだろう。