中国産の高級ワイン、その実力は? 濃厚な赤には「ボルドー級」の評価も
■「日本ではなじみ薄」、情報発信で低知名度克服を
日本での中国ワインの課題は、高級ワイン産地としての知名度の低さだ。ファインズの辻本さんは「中国ワインは日本ではまだなじみが薄いので、中国ワインのよさを知ってもらえるよう継続的に情報発信していくことが大切」と話す。 シルバー・ハイツのガオさんは「イタリアのバローロ地区も高級ワイン産地としての地位を確立するのに50年かかった。寧夏での高級ワイン造りの歴史はまだ20年しかない」と述べ、息の長い取り組みが重要であることを強調する。 一方、中国国内では習近平政権による汚職撲滅のためのぜいたく戒め政策や、経済の悪化の影響からか、ワインの消費量はここ数年、減少傾向にある。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、2023年の中国のワイン消費量は前年比24.7%減。主要消費国の中では断トツの落ち込み幅だ。 こうした状況が続けば、海外市場を求めて、より様々な中国ワインが日本に入ってくる可能性もある。日本のワイン愛好家にとっては中国ワインの魅力を知るよい機会となるかもしれない。 文:猪瀬聖(ワインジャーナリスト)
猪瀬聖
WSET認定Diploma(DipWSET)。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート/Sake Diploma。チーズプロフェッショナル協会認定チーズプロフェッショナル。著書『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(幻冬舎新書)。元日本経済新聞社ロサンゼルス支局長。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。