皇后さま61歳、公表された感想全文…陛下とのオックスフォード大再訪「思い出深い滞在に」
来年の1月には、能登半島地震から1年、そして、阪神淡路大震災から30年の節目を迎えます。当時の被害の大きさを改めて思い起こし、犠牲となられた方々を追悼するとともに、被災された方々への支援や、今後の防災・減災について考え、備えていくことが大切なのではないかと思います。
一方で、この1年も、世界各地での戦争や紛争により、子供を含む数多くの人々の命が失われていることに深い悲しみを覚えます。異なる価値観を尊重し合える寛容な社会と平和な世界を築いていくために、人々が対話を重ねていくことの大切さを感じます。
国内では、物価の上昇などの経済的な状況を始め、様々な事情により困難を抱えている人も多く、そうした人々の身の上を案じています。
深く心に残る英国訪問
今年6月には、陛下と御一緒に、国賓として英国を訪問することができました。
チャールズ3世国王陛下には、御病気の御治療中にありながら、私たちを温かく迎えてくださり、ホース・ガーズでの歓迎式典や馬車によるパレード、バッキンガム宮殿での午餐(さん)会や晩餐(さん)会など、王妃陛下と御一緒にお心のこもった温かいおもてなしをしていただきました。国王王妃両陛下を始め、王室の方々と旧交を温めることができたこともうれしいことでした。深く心に残る滞在になりましたことを心から有り難く思い、国王王妃両陛下に重ねて厚く御礼を申し上げたいと思います。
英国滞在中には、日本と英国の交流に様々な形で携ってきた幅広い年代の方々に直接お会いしてお話しする中で、両国の友好親善関係が多くの人々の交流を通じて深まってきたことや、英国の人々が日本に対して温かい気持ちを寄せていただいていることを実感し、うれしく思いました。
また、陛下と御一緒に、私にとっては34年ぶりに懐かしいオックスフォード大学を再び訪れることができたことも特別な機会になり、感慨深いものでした。オックスフォード大学のパッテン総長御夫妻を始め、私たちが留学中に御縁のあったコレッジの学長方や、当時お世話になった方々などから温かく迎えていただいたこともとてもうれしいことでしたし、陛下もかつて頂かれた名誉博士号を同大学から授与していただいたことも大変有り難いことでした。パッテン総長には、荘厳な中にも温かみのある授与式を執り行っていただき、お心遣いに深く感謝しております。懐かしいコレッジの中などを、それぞれのコレッジの学長に案内していただいて、変わらぬ歴史の重みを感じるオックスフォード大学の中を歩くことができたことも大変うれしく、思い出深い滞在になりました。