ビットコイン投資の「マイクロストラテジー」、ナスダック100指数に採用
米ナスダックは12月13日、ビットコインへの積極投資で知られるマイクロストラテジーの株式を23日からナスダック100指数に組み込むと発表した。これを受け、マイクロストラテジーの株価は16日午前の市場で一時4%上昇した。 バーンスタインのアナリストのガウタム・チュガーニは、この動きを受けて、マイクロストラテジーの株式に約21億ドル(約3230億円)の純買いが発生すると分析した。ティッカーシンボル「MSTR」で取引される同社株は、ビットコインの価格がここ数日で上昇し、過去最高値の10万6000ドル超を記録したことの追い風も受けている。マイクロストラテジーの企業価値のほぼすべては、同社のビジネスそのものではなく、保有するビットコインの価値に依存している。 マイクロストラテジーの株価は年初来で約500%上昇しており、同期間におけるビットコインの上昇率140%やS&P500の上昇率の28%を大きく上回っている。 ナスダックは13日に、マイクロストラテジーに加えて、データ分析会社パランティアとテーザー銃の製造元アクソン・エンタープライズの2社もナスダック100指数に組み入れると発表したが、16日の市場でアクソンの株価は約1%高でパランティアの株価は横ばいだった。 マイクロストラテジーは、自社を「世界初かつ最大のビットコイントレジャリー企業」と称している。1989年にマイクル・セイラーによって設立された同社は、2000年代初頭のドットコムバブルを支えたソフトウェア企業の1つだったが、近年は最も声高にビットコインへの投資を提唱する企業へと変貌を遂げた。 マイクロストラテジーは、戦略的な準備金として世界のビットコイン供給量の2.2%に相当する460億ドル(約7兆円)相当のビットコインを保有している。バーンスタインのチュガーニは、そのうちの約40%が、米大統領選におけるドナルド・トランプの勝利以降に取得されたと述べている。 同社は、ビットコイン購入資金の調達のために債権を発行するという珍しい手法を取っている。「ビットコインを信じない人にとっては、恐ろしい話だが、この会社は、ビットコインが金を超えるまで保持し続けるという長期的かつ確信に満ちた『バイ&ホールド』の戦略をとっている」とチュガーニは16日に述べた。 ■株価は過去5年で2700%上昇 一方、マイクロストラテジーには批判も多い。投資会社シトロン・リサーチは先月、同社株を「過熱しすぎており、ビットコインの基礎価値から完全に乖離している」と評し、空売りのポジションを公表した。 マイクロストラテジーの時価総額は約1000億ドル(約15兆4000億円)で、保有するビットコインの価値を2倍以上も上回っているが、他の事業はほとんどさらなる価値を提供していない。同社のソフトウェア事業の売上は、直近の四半期で1億2000万ドル(約185億円)未満だった。 マイクロストラテジーの株価は、過去5年間で約2700%上昇している。この上昇率は、同期間のエヌビディアの2200%や、テスラの1600%を大きく上っている。 フォーブスは、マイクロストラテジーの創業者で会長であるセイラーの保有資産を100億ドル(約1兆5000億円)以上と見積もり、彼を世界で254番目の富豪としている。彼の保有資産は3月以降に2倍以上に増加した。
Derek Saul