千葉・内房総で100年後を考える芸術祭へ。『百年後芸術祭-内房総アートフェス-』レポート。
100年後に残したいもの、残したくないものって何だろう? それを考える芸術祭が千葉県で行われています。内房総5市にまたがる広いエリアで個性的なアートと音楽、食が出合います。 【フォトギャラリーを見る】 「百年後芸術祭」は千葉県誕生150周年記念事業の一つとして開催される芸術祭。千葉県の内房総にある市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の5市で行われている。総合プロデューサーは音楽家の小林武史。アートディレクターを「いちはらアート×ミックス」などを手がけてきた北川フラムが務める。テーマは「環境と欲望」。人間の欲望は環境にさまざまな影響を与えている。だからこそ、そのバランスを考えることが重要だ。
●木更津駅周辺:小谷元彦、梅田哲也、槙原泰介
小谷元彦の《V(仮設のモニュメント5)》は古い蔵の中に置かれている。小谷は「百年後」とのテーマに千年の単位で応えた。作品は約4000年前の縄文時代の土偶「仮面の女神」と約1300年前、奈良時代の半跏倚座(はんかいざ)の月光菩薩像を参照したモニュメントだ。
「縄文時代の墓からは手足を意図的に折られた状態で埋葬された身体が発掘されます。月光菩薩像も手足がない。このことは僕がコンセプトにしてきた幻影痛(注:事故などで切断した手足が痛むように感じること)とどこかで通じるような気がします」(小谷) 小谷元彦《V(仮設のモニュメント5)》木更津市中央1-4-12付近(奥の石蔵)。JR木更津駅西口から徒歩6分。~2024年5月26日。10時~17時(火曜・水曜休)。エリア鑑賞券 500円(個別鑑賞券 300円)。
梅田哲也《上架》はうち捨てられていた漁船によるインスタレーション。漁網やガラス玉とともに、海の近くの古びた建物の中に設置されている。外にも漁網によるオブジェが設置されていて、こちらでは天候によっては風の音を聞くことができる。船はかなりの期間、放置されていたらしく、船底に張りついたフジツボが変色していた。 梅田哲也《上架》木更津市潮見1-1(木更津市役所旧庁舎跡地)。路線バス「木更津消防署」から徒歩3分またはJR木更津駅西口から徒歩21分。~2024年5月26日。10時~17時(火曜・水曜休)。エリア鑑賞券 500円(個別鑑賞券 300円)。