千葉・内房総で100年後を考える芸術祭へ。『百年後芸術祭-内房総アートフェス-』レポート。
●君津市:SIDE CORE、さわひらき、保良雄、佐藤悠、深澤孝史ほか
〈東京湾アクアライン〉は千葉県では君津市に接続する。その岸から見える小島に一軒の家が建っている。小さな犬小屋もあって幸せに暮らす家族のイメージが浮かぶ。が、そこには誰も住んでいない。これは移動や移住をテーマにしたSIDE COREの作品《dream house》だ。SIDE COREメンバーの一人は90年代、自身の幼少期に東京都から千葉県に引っ越してきた。東京では三世代同居だったが、千葉ではいわゆる核家族だったという。
アクアラインは東京の人口爆発に備えて他県への移住を促進するために建設されたという側面もある。60年代には同じく人口爆発に対処するため丹下健三が東京湾に洋上都市を建設するという「東京計画1960」を発表した。かつて夢見られた都市や家族の形を浮かび上がらせる。 SIDE CORE《dream house》木更津市中島4386(金田みたて海岸駐車場)から北東に1km。木更津金田BTまたは金田みたて海岸駐車場から徒歩15分のあたりから見える。
さわひらき《Lost and Found》は70年代に開園し、今では使われていない保育園が舞台だ。4つの部屋に映像インスタレーションが設置され、順番に上映される。映像が上映されていない部屋は自動でカーテンが開き、大きな窓から園庭に設置したさわのオブジェが見える。 「学校でよく、勉強しないで窓から校庭を見ていたんです。子どもが成長するってそういうことなのかな、と思って」(さわ)
上映されている映像はさわが活動を始めた時期の、20年ほど前に制作したものが中心だ。アーティストとして「子ども」だったころのものになる。 「遊びながら作品をつくっていたころですね。5歳ぐらいまでは何でも遊びの感覚でできると思うけれど、年をとるとややこしくなる」(さわ) さわひらき《Lost and Found》君津市内蓑輪61-1 〈旧内箕輪保育園〉。路線バス「友好館前」徒歩11分または「八重原局前」徒歩13分。~2024年5月26日。10時~17時(火曜・水曜休)。エリア鑑賞券 500円(個別鑑賞券 300円)。