ゴールド(金)は、なぜ世界で一番人気の投資になったのか?(海外)
地政学的緊張
金は、価値の安定した貯蔵手段としての長い歴史から、安全資産と見なされている。そのため、地政学的緊張が高まると、投資家はこぞって金を購入する傾向がある。現在、世の中には懸念材料が山積みだ。ロシアによるウクライナ侵攻から、中東での衝突激化、さらには台湾独立に対する中国の長年にわたる脅威に至るまで、地政学的緊張は収まるどころか高まるばかりだ。 さらに、米国債務の拡大は、もう1つの歴史的な安全資産である米国債が、もはや無リスク資産ではないかもしれないことを意味する。 最後の「安全」資産としての地位が、中央銀行を含めトレーダーたちが金のエクスポージャーを増やす動機になっているようだ、と今月バンクオブ・アメリカ(Bank of America)はコメントした。
トランプトレード
トランプ前大統領の勝利確率が高まるにつれて、トランプ氏が勝利した場合に恩恵を受ける資産が買われる「トランプトレード」が最近活況であり、金は大きな恩恵を受けている(原文記事は10月26日掲載)。 というのも、トランプ氏が大統領になれば、政府赤字の急増と負債の急拡大が予想され、これがインフレ再燃と米ドルの持続可能性に対する懸念をさらに強める可能性があるからだ。 「財政浪費、財政抑圧、米連邦準備理事会(FRB)の独立性に対する攻撃を心配するならば、金は魅力的な資産になるだろう」とキャピタル・エコノミックス(Capital Economics)のエコノミスト、ダビックス・オクスレイ氏は10月25日に述べた。 仮にトランプ氏が選挙で勝利しなくても、赤字は拡大する可能性があり、金はさらに上昇する見込みだ、とインタラクティブ・ブローカーズ(Interactive Brokers)のチーフ・ストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は言う。 「どちらの候補者も財政規律を説いているわけではないし、FRBはインフレ率が目標を多少上回ったとしても、利下げを続けたいようだ。したがって、金利が上昇し経済が引きつづき健全なら、金は実行可能な代替商品になるとの思惑がある。また、経済が健全でない場合でも、金は良い価値の貯蔵品となりうる」とソスニック氏はBusiness Insiderに語った。