「あれ?指が…」生まれてすぐに判明した障がいに頭が真っ白に…【先天性絞扼輪症候群(せんてんせいこうやくりんしょうこうぐん)体験談】
「もしかしたら…」妊娠ごく初期に遭った事故。あれが原因だったのかもしれない
現在のところ、先天性絞扼輪症候群になる原因ははっきりとはしていませんが、内因的要因が原因とされる説と、外因的要因が原因とする説の2つがあるそう。外因的要因は、赤ちゃんがおなかにいるときに、衝撃などで羊膜が損傷され、繊維性のものが赤ちゃんの体に巻き付いてできるというものです。この話を、産後入院中に検査に行った病院の医師に聞かされたたらこ3姉妹ママさんは、あることを思い出したと言います。 「医師から『妊娠中に何か大きな衝撃を受けると、子宮内の繊維がバラバラになってしまって、それがまだ手足を形成中の赤ちゃんに絡まってしまい、絞扼輪ができることがあるんです。何か心当たりはありますか? 』と言われて、すぐに思い浮かんだことがありました。 実は、娘の妊娠のごく初期、自分が妊娠していることにも気づいていない時期に、職場の人の車の助手席に乗っていて、赤信号で停車中、後ろから飲酒運転の車にノーブレーキで突っ込まれるという事故に遭ったんです。 幸い、私にも運転していた職場の人にも、相手方にも大きなケガはなかったんですが、事故の衝撃はものすごいものでした。だから、医師に話をされたとき、あの事故が原因だったのかなと思ったんです。 確かに、事故後、車から降りたときになんだかすごく足が震えて、自分の中で何かが壊れていくような不思議な感覚がしたんです。私、あまりそういったことで泣くようなタイプじゃないんですが、このときは珍しくしゃがみ込んで泣きました。 あのときの不思議な感覚だけは、今でもものすごく覚えているんですよね。とくに痛いところがあるわけじゃないのに、怖くて不安で涙が止まらなかったんです」(たらこ3姉妹ママさん) たらればを考えてもしかたないことではありますが、あの事故がなかったら、相手がお酒を飲んで運転していなければ、りあちゃんに必要以上の苦労や、嫌な思いをさせることはなかったのかもしれない――。そう思ってしまうのは当然です。 「すごく大きい事故だったので、それでも生まれてきてくれたことに、ありがとうと娘には感謝しています。娘が生まれてきて、そこから私は本当に幸せになれたと思う。 この事故が先天性絞扼輪症候群の原因かもしれませんが、もしかしたらこの事故で娘が私のことを守ってくれたのかもしれない、とも思います。もちろん、最初は事故を起こしてきた人のことを恨んだこともありますが、今はもうそんなことを思ってなくて、事故がなければ今の娘はいなかったのかもしれない。そう考えると、その人のことだけを責める気持ちにはならなくなりました。 それに、本人にとっては、生まれたときからずっとこうだから、この状態が当たり前だと思っているみたいです。苦労とも思ってないんだと思います。 箸(はし)だって、はさみだって、だれだって最初は使うのが難しいけれど、繰り返し練習して使えるようになるように、娘も同じように自分の手で習得する。まわりは心配するけれど、本人はみんながやっているように、自分も練習してできるようにするだけで、同じ感覚なんですよね。 いろいろな場面で、娘の手を見た人に『できないんだろうな』って決めつけられてしまうことがあって、それはしかたないことではあるんですが、娘は純粋に生きているなってすごく感じます」(たらこ3姉妹ママさん) お話・写真提供/たらこ3姉妹ママさん 取材・文/酒井有美、たまひよONLINE編集部 動画配信では、とびっきり明るい笑顔とはちゃめちゃで楽しい家庭の様子を見せてくれるりあちゃんとママ。しかし、妊娠中や出産直後のママは、計り知れないほどの不安を抱えていました。ただ、現実を受けとめ、まずはりあちゃんをどう支えていくかにシフトしていったママの愛情が、今のりあちゃんの笑顔につながっているのだなと感じます。後編では、成長していく過程でみんなとの違いに気づいたり、周囲の友だちに心ない言葉をかけられたりしたとき、りあちゃんの気持ちをママ・パパはどう支え、寄り添ったかなどについて聞きます。 「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指して様々な課題を取材し、発信していきます。