未曽有の大震災に大規模テロ「1995年」をカルチャーから振り返る
1995年のファッション
“混沌とした時代”だからこそ生まれたものが、ミクスチャーという文化だった。音楽しかり、ファッションしかり。さまざまなジャンルを織り交ぜた“何でもアリ”の時代がやってくる。 ファッションでいえば、ロック(パンク)、スポーツ、ミリタリー、古着、ハイブランドなど相反するアイテムを、自由にミックスする。かつて流行したアイビー系ファッションように、このアイテムにはこのアイテムを合わせなければいけないという着こなしの“型”がなくなったのだ。 1980年代後半から1990年代前半にチーマーを中心に人気だった「渋カジ」のバイカースタイルからスケーター、サーファー、DJなどストリートカルチャー色の強いファッションが人気を集めるようになっていく。ストリートでは、やがて神宮4丁目を中心にした“裏原宿”と呼ばれたエリアに店を構えた「裏原系」のショップ・ブランドが一大ブームを巻き起こすことに。 また、当時、アイドルの枠を超えブレイクした “キムタク”ことSMAPの木村拓哉は、女性だけでなく男性にもカリスマ的な人気を誇り、ヘアスタイルやドラマで着用した衣装・アイテムをマネする人が続出。折からのアメカジブームに加え、キムタクが愛用していたことも相まって「goro’s(ゴローズ)」のネイティブアクセサリーが注目を集めるように。氷室京介やキムタクなど芸能人にもファンが多いアメリカ西海岸発のブランド「CHROME HEARTS(クロムハーツ)」のシルバージュエリーも、彼らがメディアで着用したことでより一層人気となった。 一方、若い女性には、ルーズソックスが大流行。ミニスカートにルーズソックス、バーバリーのマフラーを巻いたスクールガール風の“コギャル” ファッションが渋谷から全国に広がっていく。 さらに、ソロ活動を始めたアーティスト・安室奈美恵の大ブレイクにより、ミニスカに厚底ブーツ、茶髪・細眉・小麦肌の彼女のファッション&ヘアメイクを真似した“アムラー”が社会現象に。 また、後に“ギャルの聖地”となるSHIBUYA109が、1995年以降、開業当時の“お嬢様向け”から全館“ギャル向け”にリニューアル。9月には女子高生文化を発信するギャル雑誌「egg」が創刊するなどストリートカルチャー誌が乱立し、読者モデルが脚光を浴び始める。この後、日サロでこんがり日焼けした“ガングロギャル”や、より派手なファッション&メイクの“ヤマンバギャル”などギャルブームを巻き起こすこととなった。 彼女たちの必須アイテムが「ポケベル(=ポケットベル)」という、携帯電話が普及する前の1980年代後半から1990年代中旬に使用されたポケットに入るほどの小型の無線受信端末。外出中の人に発信者の番号を知らせるビジネスマン向けの無線呼び出し機だったが、1987年にディスプレイによる文字表示サービスを開始して以降、若者たち間で爆発的に流行。高校生を中心に一躍ブームを巻き起こし、ルーズソックス、プリクラとともに「女子高生の三種の神器」と呼ばれた。