“一番”苦しかったことは10年間で一度もない――コツコツ継続することで成長し続けるECMJ石田氏が語るEC業界と自身の10年
印象深い出来事は「インスタントカートの普及」「Instagramの登場」
――EC業界のこの10年で起こった出来事で、印象深いことは何でしょうか。 石田氏:1つ目は「インスタントカート」の躍進・普及です。以前、あるカート会社の経営者の人達と話をした際、皆さん「『BASE』が登場した時は、インスタントカート型ネットショップがこんなに躍進するとは予想できなかった」と話していましたし、僕自身もそう思っていました。単純に「インスタントカートでショップだけ作りたい」と思う人が世の中にたくさんいることが想像できなかったんです。 インスタントカート型のショップ構築システムの登場はそこまで印象が強くありませんが、インスタントカート型ショップがこれだけ使われるようになったこと、自分が普及しないと思っていたコト・モノが世の中のニーズを捉えていたというのはすごいなと。 2つ目はInstagram経由で商品が売れるようになったことです。理由として、インフルエンサーやアンバサダーの登場、そして動画の活用があげられます。単なるSNSの1つであるInstagramや、インフルエンサー、動画がこんなにも商習慣、ECの変化に大きく関わってくるとは思っていませんでした。何回も「自分が理解できないことに取り組むことほど意味がある」と感じた経験がありますね。 ■ ECの「個人化」「若年化」が進むと予想 ――ECの未来や、10年後の展望について聞かせてください。 石田氏:印象に残っている出来事とつながっているのですが、これからさらに予想もしないようなものがくると思っています。今話を聞いても「ピンとこない」「意味がわからない」モノほど要注意ということです。周囲から「なぜそんなものに着目するのか」と思われたとしても、当事者だけが見えている未来があるのかもしれない。 今後は、個人化と若年化が進むでしょう。個人でもどんどんEコマースが可能になって、そのうえで若い人達がもっと商売できるようになっていく。今のD2Cのように商品作りも手軽になっていくでしょう。 10代のインフルエンサーが、InstagramのようなSNSを使って動画やライブコマースで、自分が作った商品を売っていくようになるのかなと。10年前と今のEコマースで何が違うかと言えば、個人的にはSNSと動画くらいだと思います。いずれも10年前も存在していたものですが、お客さまやEC運営者からの重要性や、取り組みやすさは大きく変わったかなと。10年後程度なら「今あるもの」の重要性や取り組みやすさが変わりそうですよね。