ファンタジースプリングス開業 オリエンタルランド会長「TDRは本物をつくり続ける」
■リーダーには共感力が欠かせない
――確かに非日常が思いきり楽しめる空間となっていますね。ファンタジースプリングスのプロジェクトをはじめ、髙野さんは今まで様々な部門でリーダーとして活躍されてきました。そして今はオリエンタルランドの会長兼CEOです。理想とするリーダー像はどのようなものですか。 「私は47歳で役員となり、TDRのホテル部門に出向して副社長というポジションに就きました。ホテル事業は初めてで、どういう立ち位置で役職を務めればいいのか、イメージが湧かず戸惑いました。何人かの女性社員が私に興味を持ってくれたようで、彼女たちと食事をしながら意見を交換しているうちに、互いに共感の心が芽生え、それぞれの仕事に好影響を与えるようになったんです」 「その経験からリーダーというものは、相手の共感を呼び起こす力がすごく大事だなと思うようになりました。もちろん、ベースには仕事に対する熱心さ、真面目さというものがなければいけません。ただ私というリーダーの個性という意味では、プラスして共感力を大事にしたい。そもそも私一人の力では何もできないわけですから、いろいろな方々の力を動員するためにも、それが一番だと考えています」
■環境負荷低減、ゲストと共に挑戦
――2024年はオリエンタルランドがクルーズ事業に参入することも発表しました。これからのチャレンジについて教えてください。 「クルーズ事業は私たちの新しい希望ですから、着実にプロジェクトを進めていきます。もちろんTDLもTDSも次々と新しい開発に着手していきたい。ただ、コストにしても期間にしても、今までのようにスムーズにはいかないでしょう。それにひるまず、かじ取りをしていきたいと考えています」 「一方、グループ会社を含めたオリエンタルランド全体のブランド力の向上も大事だと考えています。そのためにも、パークを支える循環型社会への取り組みなどに一層、力を注ぎたいですね。投下する資源量を抑制しながら廃棄物の数を減らすなど、環境負荷を減らしていく活動はすでにパークの中で始めています。ゲストの皆様が、リサイクルなどに一緒に取り組んでくれる姿も増えてきました」 ――TDRで楽しみながらも、サステナブル社会実現のための気づきを得られるわけですね。 「はい。テーマパークに来て、そういう面に自然に意識を持っていただけるようになったらすてきだなと考えています」