書きながら認知症を予防 新しい「自分史」ノート開発
書きながら認知症を予防 新しい「自分史」ノート開発 撮影:岡村雅之 THEPAGE大阪
個々人の人生を記録として残す自分史の普及活動に取り組む新聞印刷グループ(大阪市天王寺区)が、自分史作成と認知症予防を同時に行う「脳活・ライフレビューノート」を開発し、介護福祉サービス展で発表した。アロマの香りによる嗅覚刺激と回想法のダブル効果で脳を活性化し、自分史を書きながら認知症予防効果が期待されるという。また、大阪市内の自分史講座で学んだ戦争体験世代の受講生たちが、戦中戦後の食生活に力点を置いた合同作品集を刊行した。 【拡大写真付き】「車いす社長」の父との思い出ヒントに新たな介護トラベルサービス開発
アロマの香りと回想法のダブル効果で脳を活性化
「脳活・ライフレビューノート」はインテックス大阪(大阪市住之江区)で開催された介護福祉サービスの総合展示会で発表された。新聞印刷は人間の五感のうち、嗅覚が脳内で記憶を司る海馬を直接刺激することに着目し、認知症予防ツールの開発を思い立つ。 ベンチャー企業が手掛けた特殊な精油アロマオイルを閉じ込めた「アロマテックインキ」を開発。インキを自分史ノートの全面に塗布することで、執筆者がペンを動かして書き進むうちに、手のひらとノート表面の摩擦によってアロマオイルが香り立ち、嗅覚として海馬を刺激する方式を考案した。 同時に自分史作成作業に欠かせない回想法も、認知症予防に効果的とされている。昔の楽しかった記憶を思い出すことが心の安定につながり、脳を活性化させると考えられているからだ。ノートに懐かしい昭和の風景画を添付し、執筆者が自身の体験を思い出しやすいよう工夫を凝らした。アロマの香りによる嗅覚刺激と回想法のダブル効果で、認知症予防を目指す新しい自分史作成ツールの誕生だ。 展示会でも反響は上々。福山耕治新聞印刷社長は「高齢者支援施設の運営担当者から、利用者レクリエーションの一環として、自分史講座を開きたいという相談を受けた。自分史には高齢者の潜在的可能性を引き出す力がある。脳活・ライフレビューノートも使いやすさなどを精査し、今秋には商品化にこぎつけたい」と意気込んでいた。