「もう一度空へ」果てしない夢 後継飛行船運航目指す ツェッペリン伯爵号飛来 いばらきの昭和100年(下)
■飛行船復活目指す
メンバーが高齢化した研究会に代わり、平成12年に発足。活動を引き継いだのが青年会議所の会員らによる「土浦ツェッペリン倶楽部」だ。同年には、「ツェッペリン号を広く知ってもらおう」とドイツから入手した設計図をもとに、20分の1の精巧な模型を制作し、一般公開した。
同16年には日本の民間会社によるツェッペリン号の後継飛行船「ツェッペリンNT号」(全長75メートル)の国内での運航が決定。翌17年、日本へ到着したNT号による試乗会に恒二も参加した。「筑波山の周辺も回ったようで、おやじは大喜びだった」。現在は倶楽部の会長を務める恒二の次男、雄二(75)=霞月楼専務=は回想する。
恒二はその3年後に86歳で死去。NT号は土浦市近郊で発着する遊覧飛行などで観光需要掘り起こしの目玉となるはずだったが、運航主体の会社が22年に破産。計画は幻に終わった。
4年後には、ツェッペリン号の飛来から100年の節目を迎える。「それまでにクラウドファンディングで資金を募り、飛行船(NT号)を買い戻し、もう一度運航させたい」と雄二は父親と同じく夢を追いかける。(文中敬称略、三浦馨)