ルチル型GeO2で「世界初」半導体デバイスの動作確認
Patentixは2024年11月27日、r-GeO2(ルチル型二酸化ゲルマニウム)単結晶薄膜上にショットキーバリアダイオード(SBD)を形成し、その動作を確認したと発表した。r-GeO2で実現された「世界で初めて」(同社)の半導体デバイスだという。
整流特性も良好
Patentixは、二酸化ゲルマニウム(GeO2)の社会実装に向けた研究開発を進める立命館大学発のスタートアップだ。次世代パワー半導体の材料としては現在バンドギャップが3.3eVと広いSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)の普及が進んでいるが、GeO2は、バンドギャップが4.6eVとさらに広い。また、r-GeO2と同程度のバンドギャップを持つ半導体として、酸化ガリウム(Ga2O3)の研究の研究も進んでいるが、同社は「r-GeO2はGa2O3では困難とされる不純物ドーピングによるP型の発現が理論的に予測されていて、より幅広いデバイス応用が期待される」などと説明している。 今回の成果は、Patentixと物質・材料研究機構(NIMS)の共同研究によるものだ。Patentixは絶縁性TiO2(酸化チタン)基板状にN+のr-GeO2単結晶膜を成膜し、その上に1×1017cm-3程度のドナー不純物を導入したN-層のr-GeO2単結晶を成膜した。続いてNIMSがN-層をドライエッチングしてN+層を露出させ、電極を成膜/形成することで疑似縦型構造のSBDを形成し、その電流電圧特性を評価した。 評価の結果、試作したSBDが動作することが確認された。ON/OFF比は7桁で、良好な整流特性が得られているという。 Patentixは今回の成果について、「今回試作したデバイスは疑似縦型構造だが、次に縦型構造のSBDの実現を目指す。結晶膜の高品質化や半導体デバイスの応用を広げる上で必須のP型の実現にも引き続き取り組んでいく」としている。
EE Times Japan