時計ブランドを司る、敏腕CEOたちの"推しの一本"を聞いた!
2. ハミルトン/CEO ヴィヴィアン・シュタウファー
時計づくりの創造性を広げる、映画との出合い ハミルトンは、映画産業との結びつきも深い。ヴィヴィアン・シュタウファーCEOが挙げた一本は、映画『インターステラー』のために製作された時計を再現した「カーキ フィールド マーフ 42㎜」だ。 「映画のストーリーを紡いでいく非常に重要な役割を担っているという意味で、気に入っています。また、ブランドを象徴する“ アドベンチャー” と“ エモーション” というふたつの要素が入っていることもふさわしいと思いました」 映画との協業は、オリジナルモデルの製作、現行モデルからの選択、所蔵するヴィンテージの提供という3つの方法で対応する。だが、いずれも映画制作側に費用を払って商品を登場させる「プロダクトプレイスメント」ではない。 「私たちが参画するのは、時計が映画にリアリティをもたらすものでありたいから。そして映画という夢を具現化するクリエイティビティは、私たちの時計づくりにもいいフィードバックがあります。ハミルトンはこうだ、という枠組みから解き放ってくれるのです」 顧客の声を大事にするのもハミルトンらしさだろう。 「マーフはファンの強い要望から生まれました。私たちは、いつも多くのお客様に励まされながら時計づくりに励んでいます」
3. オリス/CEO ロルフ・スチューダー
独立系ならではの先端テクノロジー 独立系ブランドとしてオリジナリティの高い時計づくりを貫くオリスは先端テクノロジーを用いた独創性の高いモデルも近年注目される。ロルフ・スチューダーCEOが挙げた「プロパイロットX キャリバー400 レーザー 」もそんな一本だ。 「スイス連邦工科大学ETHチューリヒ校と共同開発したレーザー処理によって、純粋なチタン製の文字盤に、色素をまったく使わず反射のみによって色彩が生まれる効果を実現しました。これは時計業界初の技術です」 蝶の羽や玉虫の色から発想を得た生物模倣を原理に、自然界の美しさを再現した唯一無二の一本だ。こうしたテクノロジーに注目する理由についてこう語る。 「オリスは120年にわたる時計づくりの歴史があり、そこで培われた価値観に沿いつつ、現代を生きる人々のニーズに応えなければなりません。そのためにはテクノロジー然り、現在のカルチャーにも関心を向け、新しいものを生み出していかなければなりません。我々は独立系ブランドであるからこそ、進路を自由に決めることができ、会社や製品、従業員の未来のために長期目線で投資できます。一方で、ブランドを後世のためによりよく、強くしていくという大きな責任も伴うのです」