焼肉業界“閉店ラッシュ”の中で「焼肉きんぐ」「牛角」2大食べ放題チェーンが堅調である理由
意外と厳しい経営実態
焼肉食べ放題店は週末のファミリー客を標的顧客に選定しているから、郊外立地の大型店が多い。焼肉はテーブルごとに無煙ロースターやダクト工事が必要で、坪あたりの投資額は100万円程度と言われ、他業態と比較すると初期投資の負担が大きい。 いくら坪当りの賃料が低いとはいえ、駐車場を含めた広さが必要だから、大型店は固定費の負担が大きい。だから、営業利益率5%程度と小型店の10%程度と比較すると利益率は低い傾向にある。もちろん利益率が低くても売上が大きい分、利益額は多くキャッシュは回り、現金創出マシンとしての役割は果たしている。 焼肉に限らず、外食店はイニシャルコストとランニングコストの低減に力点を置き、投資回収速度を早める計画を策定する。しかし、現在の資材や厨房設備など出店コストが高騰する中で、値上げが思うようにできず、経営はより厳しさを増しているのが実情だ。
食べ放題を導入するメリット
焼肉食べ放題は客単価も高く、店側も一定の利益を確保した上で安心して提供できる。お客さん側も会計が最初に決まっているから、いくらになるか心配することなくお腹いっぱい食べられる。オペレーションも単純・標準化・専門化でき、コックレス化によって人件費などの運営負担も軽減できる。 メニューに関してもセントラルキッチンである程度の加工をしていれば、店のアルバイトでも十分に対応が可能で、運営しやすい。注文されるメニューもパターン化しており、商品管理や在庫管理も容易だ。タレ変・素材変などでバリエーションを豊かにし、選択肢の多さという魅力をアピールしている。 一方で、高級和牛や専門性の高い一品料理を提供する焼肉店は、高いお金をもらう以上、それ相当の職人が必要となり、人件費も高くなるから、売上が上がればいいが、なければその固定費で経営負担が大きい。 一般的に焼肉食べ放題の費用構造は原価38%、人件費22%、業務費、12%、管理費20%、営業利益8%の店が平均だ。重点管理費用は当然に原材料費と人件費であり、これらFLコストを徹底的に管理すれば、儲けが出る。