焼肉業界“閉店ラッシュ”の中で「焼肉きんぐ」「牛角」2大食べ放題チェーンが堅調である理由
国内店舗数1位の「牛角」
国内店舗数1位の「牛角」を運営するのは、外食売上5位のコロワイドグループ傘下のレインズ・インターナショナルである。牛角は一人焼肉の「焼肉ライク」の創業者である西山知義氏が1996年に東京三軒茶屋の一角で、小さな店舗からスタート。 今や国内最大数の店舗数だけでなく、北米・アジアを中心に全世界825店舗を展開する世界最大規模の焼肉チェーンとなった。2015年からは、コロワイドグループの100%子会社になり、店舗はフランチャイズで展開されており、食材供給など卸機能や店舗の運営指導などを担われている。 牛角は単品メニューと食べ放題と両方に対応した店舗スタイルだ。食べ放題は4コースあり、3180~5680円(税別)の和牛コースを用意している。食べ放題専門店も拡大中で2980~4680円の4コースがあり、ランチ食べ放題も1980円で注文できる。また、新業態である「牛角焼肉食堂」のフードコートへの出店も増えている。
幅広い世代に好まれる焼肉食べ放題
焼肉食べ放題店は競争が激化しており、差別化が困難になっている。そうなると、肉質の勝負となるのは当然だろう。スケールメリットによる仕入れ力の差が、素材提供型の店だけに、優勝劣敗を決める主要因になる。 昔は米国の牛肉パッカーからすれば、日本は大量の牛肉を買ってくれる上得意客的な存在で優位性があったが、今は中国や韓国に買い負けしているのが現況だ。そこに円安などの要因が加わり、安くて品質の高い肉の仕入れが困難になっている。さらに仕入環境の悪化や人手不足などの厳しい経営実態がある。 物価高や原材料価格の高騰などが続く中で、米国産の牛肉価格もさらに高騰中だ。焼肉食べ放題店が使用する牛肉は米国産などの輸入牛がほとんどだからである。牛肉以外も高騰しており、例えば豚肉も高くなっている。豚肉は輸入・国産ともに高騰している。今後もさらに値段が上がる可能性があるようだ。 その原因は①円安により輸入豚肉の価格が上昇して国産への引き合いも強まる、②去年の夏の猛暑で出荷頭数が減少、③輸入飼料代の価格高騰などである。また、焼肉と言えば白米が合うが、そのお米も昨年の猛暑で弾力性があり食べ応えのある1等級が不足している。これから夏休みを迎える中、焼肉食べ放題を提供する店は大変だろう。