「F-35戦闘機なんか要らない!」イーロン・マスクが主張する真意
有人戦闘機は時代遅れ
昨年末の拙稿「トランプに寄生し「アメリカ支配」を目論むイーロン・マスクの飽くなき野望」では、マスクのビジネスに焦点を当てた。今回は、ドナルド・トランプ新政権下で新設される「政府効率化局」(DOGE)の共同代表に就くマスクの「連邦予算から2兆ドルをむしり取る」戦略の一つにスポットライトを当てたい。第5世代ステルス戦闘機F-35ライトニングII(「F-35」、下の写真)の予算削減問題である。 2025年「全羅南道の憤怒」が爆発し、朝鮮半島が激変する! マスクは昨年11月24日、「F-35のような有人戦闘機をまだ製造しているバカもいる」とXに投稿した。彼は別の投稿(下を参照)で、「F-35の設計は要求レベルで破綻していた」と書き、設計段階から疑問を呈している。 そのため、「F-35は高価で複雑な 『何でも屋』になってしまった」という。さらに、彼はつぎのように決定的な批判をしている。 「ドローン(無人機)の時代には、有人戦闘機は時代遅れなのだ。 パイロットが殺されるだけだ」
「有人戦闘機不要論」
そこで、マスクの意見を尊重して、航空戦力にかかわる「有人戦闘機不要論」について論じてみたい。 第一に、F-35について言えば、その高額な価格や巨額の開発費に対する疑問が問題になる。昨年8月27日付の「ニューヨーク・タイムズ」は、「F-35戦闘機は1機あたり8000万ドルもする」と報じている。 昨年11月26日に公表された「Forbes」の記事は、運用試験・評価局の年次報告書によると、F-35開発プログラムは予定より10年遅れ、予算は1800億ドル超過していると推定されていると書いている。 米国政府説明責任局(GAO)は昨年4月15日付で、「F-35の維持コストは上昇を続ける一方で、計画された使用と利用可能性は減少」という資料を公表している。それによると、「国防総省は現在、約630機のF-35を運用しており、2040年代半ばまでに合計2500機を調達する計画である」。 さらに、「国防総省は2088年までF-35の使用を継続する予定であり、取得と維持に2兆ドル以上を費やす計画である」と記されている。 F-35が、いかに「金食い虫」であるかがわかるだろう。耐用年数が延長されたとはいえ、国防総省が2088年までのF-35戦闘機群の維持にかかる費用を予測したところ、その額は増加し続けている。 具体的には、維持費の予測額は2018年の約1兆1000億ドルから2023年には約1兆5800億ドルへと、44%も増加している。 その半面、飛行時間は減少している。2020年の年間コスト見積もりでは、F-35艦隊が定常状態で年間38万2376時間飛行すると報告した(これは2030年代半ば頃の予測)。 2023年度の年間コスト見積もりでは、定常状態における飛行時間の推定値は30万524時間に修正された。これは、年間飛行時間が約8万2000時間、つまり21%減少することを意味している。