牛肉高騰でインフレ気味の牛丼チェーンを尻目に…「かつや」「てんや」「なか卯」“和風丼チェーン”3社の現在地
かつやの運営会社の実態
かつやの運営は、以前はアークランズ株式会社(本社:新潟県三条市)が担っていた。アークランズはムサシやビバホームなどホームセンター事業を中核として、全国に270店舗(2024年8月31日自点、傘下のアークランドサービスの外食店除く)を展開している。 しかし消費者の生活様式の変化による外食市場の規模拡大を事業機会と捉えて、1986年4月に外食事業部を設立。本格的に飲食事業を展開するため、1993年、アークランズ株式会社の外食事業部門の営業を譲り受け、100%出資の子会社としてアークランドサービス株式会社を設立した。 かつやは傘下のかつや株式会社が運営しており、525店舗(直営139店舗、FC311店舗、海外75店舗、2022年12月末時点)展開している。また、同グループでアークランドサービス傘下のエバーアクション株式会社が運営する「からやま」は現時点で122店舗出店しており、コロナ収束後に各社が整理縮小される中で好調だ。
関西での店舗展開力を高める戦略
2010年には両チェーンのさらなる店舗展開力を強化するため、関西での地盤が強固な和食ファミレスチェーン「和食さと」などを展開するSRSホールディングスと資本・業務提携を締結した。 SRSホールディングスとアークランドサービスホールディングスが、出資比率51%(SRSホールディングス):49%(アークランドサービスホールディングス)で「サト・アークランドサービスホールディングス」を共同出資で設立し、エリアフランチャイジーとして協力関係を構築している。 現在のかつやは関西圏で48店舗(大阪27店舗/京都3店舗/滋賀1店舗/兵庫6店舗/奈良6店舗/和歌山5店舗)を展開中だ。また、からやまも関西11店舗(大阪10店舗/兵庫1店舗)を展開中である(2024年3月末現在)。
「てんや」が値上げする中、「さん天」の魅力
和食ファストフードといえば、かつ丼だけではなく、天丼も見逃せない。ロイヤルホールディングス傘下の天丼チェーン「天丼てんや」も11月8日より国内店舗で20品を20~30円値上げを断行した。 ロイヤルホールディングスは外食御三家であるロイヤルホストをコアブランドとして展開する外食企業だ。100%子会社で、てんやの運営会社でもある株式会社テンコーポレーションはも価格は少し高めだがこだわりの天丼を提供している。今回の値上げは、お米の価格高騰など仕入れ価格の負担増大が理由で、約2年ぶりである。 一方、かつやのエリアフランチャイジーであるサト・アークランドサービスホールディングスは自社ブランドである天丼専門店「さん天」も展開している。さん天は、揚げたての海老が2本、それに野菜天も入った「海老天丼」を490円から提供している。 SNSも積極活用し、LINEクーポン、Xクーポン、アプリクーポンも同時に利用できる。豪華な天丼が490円で食べられると好評のようだ。さん天は現在34店舗(FC1店舗)を展開している。人手不足対応としてセルフ店も増やしており、セルフ店は大根おろしも食べ放題など各種サービスも実施中だ。