他社は続々撤退するなか、 シーイン やポッシュマークはなぜ ライブコマース に多額の投資をするのか?
多くのブランドやプラットフォームがライブストリーミングの取り組みから撤退している一方、ファッション特化型フリマサイトのポッシュマーク(Poshmark)やファストファッション大手のシーイン(Shein)のようなマーケットプレイスは前進し続けている。 米モダンリテールが4月15日から17日にニューオーリンズで開催したモダンリテールコマースサミット(Commerce Summit)で、ポッシュマークCMOであるスティーブン・トリスタン・ヤング氏とシーインのコンテンツ制作責任者であるマリサ・ラニヨン氏は、いかにしてライブストリーミングが自社ビジネスの重要部分となったかについて説明した。また両社は新しいライブショッピング機能の開発や社内コンテンツ制作チームの発足など、ライブストリーミング拡充のために実施した投資についても語り合った。 パンデミックによりブランド各社がライブショッピングをテストするようになってから3年が経ち、多くのブランドが投資ペースを減速させたり、このチャネルを完全に諦めたりしている。たとえばテック大手企業であるメタ(Meta)は、Facebookとインスタグラムにおけるライブショッピング機能を廃止した。それでもポッシュマークとシーインは、米国にはライブショッピングが成長する余地がまだあると主張している。
両社のライブショッピングに成長の余地がある理由
「ここでライブショッピングが大成功するだろうと思っていた人たちにとっては期待外れだったかもしれないが、時間の問題だと思う」とヤング氏は語る。「これは新しいQVC(テレビショッピングを24時間放送する専門チャンネル)だ。人々はスマホを使っており、オンラインでショッピングしたがっている」。 ポッシュマークは昨年4月に、「ポッシュショー(Posh Shows)」というライブショッピング機能を正式にローンチした。これはすでに売り手と買い手の両者に広く受け入れられている。売り手は毎日何百もの番組を配信しており、サービス開始以来、10億分以上という膨大な時間視聴されている。 同様のサクセスストーリーはシーインにもある。「シーインライブ(Shein Live)」は2016年に米国で開始されたが、そのときの視聴者数はわずか数百人だった。2022年にコンテンツ制作を主導し、ファストファッション大手のライブストリーム機能のさらなる成長を推進するためラニヨン氏がシーインに加入したのに合わせ、同社は自社内にコンテンツ制作チームを結成した。現在では、「何十万人もの視聴者」が定期的にシーインのライブ配信を視聴しているとラニヨン氏は言う。 「ライブストリームショッピングにおいて、アジアは米国の5年から10年先を行っている」と同氏は話す。「シーインはわずか数百人の視聴者数と非常に低い制作費でこのライブ配信をスタートさせた。それ以来、有機的に成長を続けている」。