90歳になった巨匠、ジョルジオ・アルマーニに6000文字の独占インタビュー。
ーーイタリア語でエンポリオはバザールやショッピングセンターを意味します。1981年にエンポリオ アルマーニはどのようなコンセプトで創設されたのでしょう?
80年代初頭、とても大きな可能性を秘めた市場があることに気づきました。そこで若い人たちが手に取りやすい商品を提供することを思いついたのです。最初の主力商品はジーンズでした。それまでジーンズを作ろうと考えたデザイナーはおらず、リスキーな試みだと酷評されました。1981年にエンポリオ アルマーニを立ち上げたとき、多くの人が驚き、私とパートナーのセルジオ・ガレオッティに止めるよう忠告しました。ブランドが苦境に陥ることを心配してくれたのです。ですが幸いにもそうなりませんでした。時代と世の中は逆に私の味方となり、このブランドは瞬く間に成功を収めました。民主的なファッション・コンセプトを意味する「エンポリオ」という名前もですが、エンブレムも良かったのでしょう。エンブレムにイーグルを選んだのは、力強く空高く飛ぶワシがひとめで見分けられ、ポジティブなブランドのスピリッツを体現しているからです。
ーージョルジオ アルマーニの世界は服だけでなく、家具、レストラン、ホテル、ビューティなど多岐に渡ります。グローバルな体験のブランドなのでしょうか?
ファッションのさまざまな分野で、自分の美的哲学を反映した完全なアルマーニ・スタイルを提供することは私の夢のひとつでした。ファッションは服や小物を超えたものであるというのが私の信念です。だからこそ本格的なライフスタイルを提案しようと、ホテルやデザート、そして花屋に至るまで、さまざまな分野に進出しました。アルマーニの世界に足を踏み入れてくれた人たちに、ユニークな体験を提供したい。今日、これまで以上に消費者とのつながりが重要になってきており、それは単に製品を提供するだけにとどまらないはずです。絶えず変化しつづける世界にマッチした、持続可能な本物のライフスタイルの創造に成功したと思っています。
ーーコロナ禍であなたはいち早く、現在のファッション・システムを変えようと呼びかけました。現在、環境問題はどのように取り組んでいますか?
ここ数年、地球温暖化、自然災害、社会災害、パンデミック、紛争などが起きている中で、私は行動を起こすことが不可欠であることに気づきました。それは単なるファッションの問題ではなくビジネスの観点からも必要なことです。持続可能な開発という選択は、いまや私たちのグローバル戦略の一部です。