90歳になった巨匠、ジョルジオ・アルマーニに6000文字の独占インタビュー。
ーーニコール・キッドマン、ケイト・ブランシェット、ミシェル・ファイファー、イザベル・ユペール、ソフィア・ローレン、グウィネス・パルトロウ。多くの女優がレッドカーペットでアルマーニを着ていますが、彼女たちとはどのような関係ですか?
私の服を着てくれる女性は数えきれないほどですが、みなさん、私のスタイルに共感し、私の仕事の本質を理解してくれています。私はいつも着る人のエレガンス、個性、主体性を引き出すように心がけてきました。真の美しさとは肉体と精神の調和、つまり内面と外面の気品から生まれるものだと信じています。これが「アルマーニの女性たち」に共通する特徴です。
ーーレッドカーペットでオートクチュールドレスを成功させるには?
それは着る人との対話にあります。ドレス自体はただのアイデアであり、動かない単なる物です。着る女性の個性が加わって服は命を吹き込まれるのです。コレクションをデザインするときにレッドカーペットでの姿を想像することはできませんが、彼女たちのことは知っているので、デザインの段階からどんな格好や感じになるかを想像します。でも毎回、人が身につけたドレスが動き出すのを見るのは大変な感動であり、新たな驚きです。
ーー世界中が憧れるドレスをデザインするのは楽しみですか?
まず第一に、ファッションはひとつのニーズを満たすものです。服を着ることで社会的に認められるのです。ですが同時に夢見たり、気分を高揚させたり、違う自分になる機会も服は与えてくれます。ファッションは誇示するためのものというよりも、個人的な満足感を得るためのものとして重要な役割を果たしていると思いますし、そのような機会を私たちはいつでも満喫すべきだと思います。
ーー2005年に誕生したオートクチュールライン、アルマーニ プリヴェのビジョンは現在も、変化し続けているのでしょうか?
私にとってオートクチュールとは人間を特別な存在にしている資質、わくわくするような想像力と手仕事の極みです。アルマーニ プリヴェは、時代を超えた私のビジョンや私の世界の頂点に位置します。最高のクラフツマンシップで作られた服は、何年も着続けられるもので、このラインを通じて職人技やさまざまな技法を試すことができるのです。オートクチュールは時代錯誤に見えて、そのアプローチは先進的です。その点に興味があります。進歩の出発点は単純に美しさなのですから。
ーーコレクションではよく、日本からインスピレーションを得ていますね?
日本には深く惹かれています。柔軟なのに頑なでもある日本の美意識への傾倒は、私の考え方や仕事に、さまざまな形で影響を及ぼしています。自分の中で日本のイメージは、版画、歌舞伎などの伝統文化、そして映画によって形成されてきました。しかし、いざ日本を訪れてみると、驚くほどモダンでほとんど未来的な都市を発見し、そのコントラストに衝撃を受けました。