【F1メカ解説】スプリント実施にもかかわらず……中国GPに投入されたアップデート。激戦の中団を戦い抜くため、立ち止まることは許されない
■アルピーヌの変更
アルピーヌは、当初の予定を1戦前倒しし、中国GPに大規模アップデートを投入してきた。ただ十分なスペアがなかったため、アルピーヌはエステバン・オコンが先行してこれを使用。チームメイトのピエール・ガスリーは、旧仕様のパッケージで走った。 上海で走ったオコンのマシンには、新しいフロアとフロアフェンス、エッジウイングが搭載。ディフューザーのサイドウォールにも変更が加えられた。 これらのパーツは、いずれも相互作用として設計されており、発生するダウンフォース量が増えるだけでなく、バランスが改善されることも期待しているはずだ。 フロアフェンスは、4枚存在するフェンスのうちもっとも内側の1枚が特に変更された。 アルピーヌA524のフロアフェンスの最も内側の1枚は、これまではシャシーと2枚目のフェンスの間に配置されていた。しかし今回のアップデートで、この最も内側のフェンスがシャシーの下に移された。これにより、フェンスの効果が変わっているはずだ。 これにより、フェンスと気流の相互関係が変化。後方の挙動にも変化が生じるはずだ。
■アルピーヌ、フロアを変更
これらの変更に対応するため、フロアとシャシーのインターフェイスが変更されている模様。つまり、古いフロアを外して新しいフロアを取り付けただけ……ということではなさそうだ。これだけ大規模な変更のため、チームは上海の1台分しかアップデートを用意できなかったということだろう。 エッジウイングの前部はほとんど変わっていないように見える。しかし、フロアのエッジとエッジウイングの角度が、エッジウイング中央部分の捩れが効かされた位置で調整されている。 エッジウイングの後半部分は、フロアの形状に合わせて先細りしているわけではなく、その角度に応じて曲げられている。また、新たに設けられた切り欠きの内部に、水平のウイングレットが取り付けられた。 この切り欠きは、昨年型のA523に存在していたモノだったため、チームとしては原点回帰とも言えるモノだ。またエッジウイングとフロア本体を繋ぐ金属製のブラケットが、これまでの3つから2つに減った。 これらの変更により、リヤタイヤの前方のフロアが高くなった。このことで、ディフューザーのサイドウォールとリヤタイヤの間に生じていた空力的な悪影響の一部を軽減するために使われた。