「367ヵ所」必要の試算も! 万博迫る大阪で「喫煙所が足りてへん」の声が止まらない!
このように大阪市は急ピッチで喫煙所を設置しつつあるものの、そもそも喫煙所の数が「市内全域で120ヵ所の新設ではとても足りない」という指摘も根強い。 大阪市商店会総連盟は調査会社のリサーチをもとに、市内に必要な喫煙所の数を「367ヵ所」と試算。 分煙環境が整備されたエリアと、それが間に合っていないエリアで客離れが予測されることから、喫煙所の設置不足によって市内の商店街に及ぼすビジネス上の悪影響が「年間252億円」にも達すると提言している。 また、昨年11月には大阪府飲食業生活衛生同業組合と全国飲食業生活衛生同業組合連合会も、連名で喫煙所計画数の上方修正を求める陳情書を市に提出するなど、地元から喫煙所の設置計画に疑問を呈する声は後を絶たない。 こうした指摘は大阪市も承知しているようだ。前出の担当者がこう話す。 「かねて地元の商店会さんなどから、『もっと喫煙所を増やしてほしい』という要望はいただいております。 それに関しては来年1月の路上禁煙の条例施行後になりますが、喫煙所を新設したことによって路上喫煙者の数がどう変わったのか、路上喫煙は増えたのか減ったのか、そういった実態を調査してから検討を進めていく予定です」 公共喫煙所の設置はあくまで路上喫煙の防止という名目である以上、計画の有効性を見極めてからでなければ、さらなる増設は難しいとの回答である。 また、大阪市内の愛煙家から、「喫煙所が見つけにくい」との声が聞こえたように、喫煙所の利用そのものに不便さがあるようだ。 「喫煙所にたどり着けなければ対策として意味がないことはわれわれも理解しております。今後は市のホームページでの案内だけでなく、グーグルマップなどオンラインの地図に喫煙所の場所をわかりやすくアイコンで表示するなどの方法を検討しておりますが、そこはまだ模索中です」 ちなみに、万博会場の喫煙所設置については、場外に1ヵ所だけしか予定されておらず、喫煙所に人があふれてしまうことが懸念されている。 22年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、大阪市民の喫煙率は17.7%で全国平均16.1%を上回っている。さらに、世界保健機関(WHO)の調査によれば世界人口の約2割が喫煙者だ。万博に訪れる外国人の中にも喫煙者は少なくない。 大阪市は喫煙所のさらなる増設について〝様子見〟をしているようだが、そんな悠長に構えていて大丈夫? 取材・文/小山田悠哉 取材協力・撮影/ボールルーム