「367ヵ所」必要の試算も! 万博迫る大阪で「喫煙所が足りてへん」の声が止まらない!
2025年の万博開催を前に、大阪市は路上喫煙の全面禁止に向けた取り組みに邁進中。そのひとつが市内喫煙所の新設で、120ヵ所を目標に急ピッチで設置が進んでいる。だが、ある調査によると、その数でもかなり足りないそうで......。大阪の喫煙所事情を探った! 【写真】ルール守られない喫煙所も * * * ■「全然足りてへん」大阪の喫煙所事情 2025年4月に開催が迫る大阪・関西万国博覧会。国内外から観光客の大幅な増加が見込まれている中、会場となる大阪市の喫煙所不足が問題になっている。 JR新大阪駅の改札内で唯一の喫煙所(新幹線コンコース)を利用していた50代男性が、次のように語ってくれた。 「今年の春に新幹線の喫煙ルームが廃止されてから、この喫煙所は常に満員。以前は新大阪駅の外にも灰皿の置いてあるスペースがけっこうあったんやけど、それらも撤去されて、今はここに殺到するしかない。 大阪市は万博までに喫煙所を増やすと言うとったけど、それがどこにあるかわからへん。少なくとも大阪にいて『喫煙所が増えた』っていう感覚はないわ」 天王寺の屋外喫煙所にいた30代男性も、「大阪の喫煙所は正直少ない。初めて行く場所だと、まず喫煙所を探し回らないといけないですから」と語ってくれたように、市内の喫煙所不足は大阪の愛煙家たちの実感であるようだ。 大阪市では20年4月に改正健康増進法が施行され、屋内は原則禁煙となった。さらに万博で大阪は「健康」をテーマのひとつに掲げていることもあり、25年1月からは市内での路上喫煙も全面禁止が決定。コンビニや飲食店前の灰皿撤去も徐々に始まっている。 そうした市内全域の禁煙化に合わせ、大阪市は「喫煙者と非喫煙者が共存できる分煙環境を整備するため」として、「市内に120ヵ所の喫煙所を新設、さらに既存の20ヵ所を改修することで対応する」と打ち出してきた。 しかし、街の声を聞けばわかるように、喫煙所の数に満足している大阪市の喫煙者は、ほぼいない様子だ。むしろ喫煙所が少ないことで、「市の監視が行き届かないところで路上喫煙やポイ捨てが増えるのでは?」(30代男性、非喫煙者)との意見もあった。 では、大阪市の喫煙所の整備状況は現在(8月6日時点)、どうなっているのだろうか。大阪市環境局事業部事業管理課の担当者は、こう答える。 「現時点で大阪市に指定された喫煙所は、33ヵ所が運営中です。ほかに41ヵ所の喫煙所が設営工事を発注済みであり、すでに計74ヵ所の喫煙所を確保しております」 こうした新設の喫煙所の多くは、民間事業者の協力によるものだという。 「市だけでは設置場所の確保が困難であることから、大阪市では民間事業者が喫煙所を整備する際の費用を補助する『大阪市指定喫煙所設置経費等補助金制度』を設けています。昨年度は約200件の問い合わせがありました。 今年度は9月30日までの募集期間ですが、すでに昨年度と同程度の問い合わせがあり、来年1月の路上喫煙全面禁止までに、当初からの目標である120ヵ所の新設は達成できる見通しです」 ■地元商店会の試算と市の計画に大きな差