カラオケガチ勢 vs 新導入"AI採点システム"の熱き戦い。歌のうまさとは!? それまでは高得点をたたき出していたのに......(涙)
■開発者vsガチ勢直接対決! 第一興商のスマートなビル、その地下にはパーティルーム仕様のカラオケルームがある。 時にアーティストも利用するというその部屋で、「精密採点」シリーズの開発者、橘聡さんに話を聞いた。* * *Y寺 御社の説明では「精密採点Ai」に搭載された"Ai感性ボーナス"とは、「膨大な歌唱データからうまいと感動するポイントを抽出し、そのポイントが見つかると加点される」とのこと。 ということは、AIに「歌のうまさとは何か」を学習させているわけですよね。人間にも簡単に答えられないことだと思うんですが、実際の歌唱データを聴かせたり、波形データをAIに処理させているのでしょうか。 橘聡(以下、橘) 先にお話ししておくと、世間一般で思われているAIの使い方と「精密採点Ai」は少し違います。一般的には、AIにあらかじめデータを入力しておいて、分析してもらうんでしょうが、「精密採点Ai」はそうではない。 特定の歌い方を誤検出なく拾ってもらうためにAIを使っているんです。AIはあくまで手段にすぎません。どんな歌い方が魅力的なのかを決めているのは、開発サイドです。 Y寺 なるほど。自分の話になりますが、「精密採点DX-G」ではいろいろ研究して、やっとの思いで99点を出せたんです。「精密採点Ai」は点数が出やすくなると想像したんですが、実際に歌ってみると88点で、Ai感性ボーナスがつきませんでした。 自分は人間性を失ってしまったのかなと、はしごを外されたような気持ちになったんですよね。実はマイクとの距離を変えることで抑揚をつけているんですが、そういう小細工をAIは見抜くんでしょうか。 橘 そうですね。今まで機械が拾えなかった、上手に聞こえるポイントをなるべくたくさん見つけて、点数に乗せることに重点を置いて開発したんですよ。同時に不自然に聞こえる点は加点されないようになっています。 Y寺 ということは、和田アキ子さんら、プロの歌手でマイクの位置を変えて歌う方は点数が出ないのでは? 橘 ポイントは不自然に聞こえるかどうかです。和田さんの歌は聴いていて心地よいので採点には問題ないと思います。そのために実際の歌唱データを膨大な数、聴きました。「この人のこの魅力的な歌い方はどうしたら加点できるようになるだろう」という分析を延々やったんです。まだ拾えていない魅力的な歌い方もあるんですが。 Y寺 機械に媚びた歌い方をしすぎて不自然になってしまったということですか......。