社内のメンタル不調にどう向き合う!? 工夫次第で昇進した人も
組織の中に「サポートチーム」を設け、働き続けられる環境をつくる
周囲の人たちはどのように対処の糸口を見つけていけばいいのだろうか。うつ・メンタルヘルス不調で休職中や離職中の人への就労支援を行う、沖縄の株式会社BowLでリワークプランナーとして働く大田真央香さんは、「聞く」ことの重要性を訴える。
「メンタルヘルス不調と診断がされても、職場はどこまで踏み込んでいいのかわからないし、本人もどこまで頼っていいかわからないとなってしまい、具体的な対策がされないまま休職と復職を繰り返しているケースはとても多いんです。本人に何が起きているのかを聞かなければ、その繰り返しから抜け出すことはできません。 よく、『こういう優先順位でやってみたら?』のようなアドバイスを先にしがちですが、そうではなく、まず聞くという姿勢を見せることが、対話を始めるきっかけになると思います」 BowLは、メンタルヘルス不調で休職した人の復職をゴールとせず、その後も健康的に働き続ける環境をつくることを目的としており、本人が戻る職場の組織開発も支援している。BowL代表取締役の荷川取佳樹さんは、「サポートチーム」を設けることの必要性を語った。
「まず、多くの企業は、休職から戻ってきたら100%元気な状態で働き続けられると思っていますが、それは大きな誤解です。人の精神状態は十分な休養によって100%まで回復しますが、職場に戻れば普通はそのメーターは70%、60%と下がっていきます。戻った先の職場環境が何も変わっていなければ、また0%まで下がって休職せざるをえなくなります。そうならずに、60%くらいでも持続的に働けるようにするには、組織が変わらなければいけません。組織を変えるため、本人が戻る職場には、『BUDDYシステム』という仕組みにのっとったサポートチームづくりを提案しています」 BUDDYシステムでは、まず、メンタルヘルス不調から復帰した本人をサポートするために、悩みを受け止めてくれる仲のいい先輩のような存在「BUDDY」を置く。その上で、本人の悩みに共感しながらその先に進むための問いかけをしてくれる「COACH」、業務に対して指導してくれる「TEACHER」を置き、3人体制でサポートする。BowLの新人育成で実験的に行った上で体系化された仕組みであり、休職する手前のメンタルヘルス不調者に対しても有効だ。 「就労支援というより、健康的な組織づくりをしているような認識」と語る荷川取さん。 「多くの企業が、今までの根性論に偏った人材育成のやり方が合わないということに気づきながらも、そのやり方を押し通し続けています。そこに問題意識を持ったほうがいい。どうしたらこの人は伸びるんだろう?といった視点を持てる人が増えていくことが、互いを傷つけあう世界から抜け出す一歩ではないでしょうか」