ヤマザキマリ「イタリア人の義父が、友人に勧められ家庭菜園でケールを栽培。あまりの苦味に家族でもがき苦しみ、翌年は白菜に変更されていたが…」
◆皆にあまり喜ばれない「プレゼント」 ちなみに舅がケールや白菜の隣で栽培していた「マメ」というインゲンは、無事収穫と乾燥に成功。ビニール袋に詰められた状態で、クリスマスの期間、皆にあまり喜ばれない「プレゼント」として配られた。 あまりにもたくさんあったので、ついには自分の家の前の道路にテーブルを出して販売を始めたいと言い出し、私はその日本語とも解釈できる「マメ」という呼称の由来を調べてほしいと頼まれた。 販売するにあたり、お洒落なカードにそれを印刷して購買者に渡すのだという。残念ながら私には、アルパゴ地方の「マメ」と日本の「マメ」の接点は見つけ出せなかったが、豆類としては希少種であり、もうほとんどイタリアでは栽培されていないということがわかった。 結局、「マメ」は一つも売れることがなく、これも義母に失笑されて終わったが、ケールや白菜と違って保存が利くという意味でも重宝したし、配られた人の中には希少種と聞いて栽培を試みた人たちもいるという。 ※本稿は、『貧乏ピッツァ』(新潮社)の一部を再編集したものです。
ヤマザキマリ
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