<ネット党首討論>(2)アベノミクスをどう評価する?【全文書き起こし&動画】
衆議院選の公示を12月2日に控え、「ネット党首討論」(ネット事業者7社「わっしょい!ネット選挙」主催)が29日夜、都内で開かれた。8党党首が「安倍政権2年間の評価」「経済政策」「安全保障」などをテーマに議論した。 【全編動画】ネット党首討論「安倍政権2年」「経済政策」「安保政策」で論戦 自民党の安倍晋三総裁、民主党の海江田万里代表、維新の党の江田憲司共同代表、公明党の山口那津男代表、次世代の党の平沼赳夫党首、共産党の志位和夫委員長、生活の党の小沢一郎代表、社民党の吉田忠智党首が出席した。
■全文書き起こし
------------------------------------------------------ 角谷:はい。ありがとうございます。さて、では続いては具体的に2つのテーマに絞って討論していきたいと思います。1つ目のテーマはこちらです。 経済政策です。ここからはより活発な議論を展開していくために、手を挙げて、挙手制にいたしたいと思います。意見のある方、手を挙げて言っていただきたいと思います。まず私が当てましたら話していただくというルールでございます。僭越ながらよろしくお願いします。 まず討論の皮切りに私から民主党代表の海江田さんにお話を伺いたいと思います。民主党のマニフェストにはアベノミクスは期待外れと書いてあります。これはいったいどこが期待外れで、また、民主党はどのようにすればいいかというふうにお考えなんでしょうか。お願いします。 海江田:はい。期待外れというのは国民の皆さんの8割が、実は景気回復の実感がないということ。このことを取ってみて、もう明白なことだろうと思います。そして実は、この民主党の政権のときは3年3カ月でGDPが5パーセント成長したんですね。それに対して安倍さんの2年間では1.7パーセントの成長ということでありますから、政権に就いて2年たっていますけれども、全国津々浦々に実感を感じてもらうということも実現できていません。ですからこのことから、多くの国民が期待外れだっていうことを考えていると思います。 私たちはやっぱり、まず1つは、働く人たちの雇用を安定させる。雇用を安定することによって、実は賃金が安定をしてくるんです。安倍総理は雇用が100万人増えたと言いますけれども、そのほとんどが、これは非正規の雇用者で、実は正規の雇用者は9万人もこの2年間減っています。ですから雇用の安定、それから働く人たちのこの。 角谷:はい。すいません。ここで維新の党の江田共同代表がご到着になりました。お入りください。では江田さん、よろしくお願いします。討論を続けます。 江田:どうもすいません。遅くなって。 角谷:ということです。じゃあ、あとは皆さんからどうぞ、自由にご発言いただきたいと思いますけど。いかがですか。 角谷:安倍さんからいきますか。 安倍:はい。今、海江田さんがGDPについて話をされました。われわれが政権を築く前、民主党政権時代、3四半期連続のマイナス成長でありました。われわれが政権を引き継いで3四半期連続プラス成長になりました。有効求人倍率も過去22年間で最高の水準にあります。そして賃金も、この4月の賃上げのチャンスを生かして2%以上上がりました。15年間で最高であります。ボーナスは7%と。これは24年間で最高の水準になっています。 そして倒産件数。民主党政権時代よりも2割も倒産件数が減っているんです。そして正規社員。この7月、8月、9月、正規社員は10万人増えました。民主党政権時代は雇用全体が減っていたんです。私たちは100万人増やす。さらに正規の社員を増やしています。これから、さらにアベノミクスを進め、全ての人々にこの景気の暖かい風を起こしてまいります。 角谷:はい。では志位さん、いきましょう。 志位:私は、アベノミクスは国民の暮らしに2つの害悪をもたらしたと思っております。第1は景気悪化の害悪です。で、GDP2期連続マイナスというような異常事態が起こったわけですけれども、これは国民の反対を押し切って消費税を8%に増税したことによる、増税不況と言わなければなりません。この増税を推進した自民党、公明党、民主党の責任は重いと言わなければなりません。 それから2つ目は格差の拡大です。で、一部の大資産家や大企業は大きなもうけが転がり込んだけれども、庶民の実態はどうかと。円安による、物価高による生活苦が襲っています。今、総理は、賃金は上がったとおっしゃいましたけれども、実質賃金は15カ月連続のマイナスです。雇用は良くなったと言いますけれども、非正規の社員は増えたんですけれども、正社員は22万人、2年間で減っています。ですからこの道しかないとおっしゃるんですけど、この道に先がないと。転換が必要です。 角谷:はい。ありがとうございます。はい。平沼さん、いきましょうか。 平沼:私は1つ申し上げたいことは、この国の景気、アベノミクスで第1の矢、第2の矢、第3の矢というのをやってきましたけれども、先ほども言いましたように、第3の矢の具体性がない。それから地方の経済というのは非常に疲弊してしまっている。そういうことで、私はこの具体的なこの第3の矢を明確に出すべきだと思っております。 それから私は国会の代表質問で消費税の増税は慎重にすべきだという形で、1年半先延ばししたことは評価をいたします。しかし先延ばしをしても景気対策をしっかりしていかないと同じことの繰り返しになると。こういうふうに思っておりますので、そのことは申し上げておきたいと。このように思います。 角谷:はい。江田さん、じゃあいきましょうか。 江田:はい。第1の矢は、金融緩和の矢は飛びましたね。しかしこれはもう2009年、私がみんなの党を結党したときから2%、インフレターゲット金融緩和訴えたことですからね。ただこれはカンフル剤。要は一瞬、これは体をしゃきっとするんですね。だけどこの第1の矢の効き目が効いているうちに第2の矢、第3の矢を矢継ぎ早にやらないといけなかった。その第2の矢の財政出動が残念ながらあらぬ方向へ行っていますね。これは公共事業、ばらまきですよ。これはもう例年5兆円だったやつが、もうなんと10兆円ですよ。しかも2兆、3兆、4兆使い残して、繰り越している、この貴重な税金を。これで飽和状態、消化不良になっていますね。 第3の矢。これが肝心要ですね。まさに規制改革。この成長分野、農業とか、電力・エネルギーとか、さらには医療・福祉とか。これはもう官僚が手かせ足かせかけています。安倍総理はそれ、岩盤規制を打ち砕くとおっしゃいましたね、ダボス会議でね。しかしこれができてない。なぜか。それは自民党、農業には農協、医療には医師会、そしてエネルギーには電力会社と。支持基盤、これが打ち砕けてない。 角谷:はい。ありがとうございます。じゃあ、江田さん。 江田:この間のアベノミクスが、やはり地方、そして中小企業、国民に及んでいないわけでありますから、地方がしっかり地方の独自性を生かして手が打てるように、使い勝手のいい交付金を交付すべきだと思っております。 それから労働者、国民につきましては、やはり消費税を5%から8%に上げたのがそもそも大きな問題でありますから、やっぱり5%に一度戻すべきだと、そのように思っております。 そして労働者につきましては、やはりこの間の非正規労働者が増えたことが最大の原因です。有効求人倍率は確かに1.1でありますが、正社員の有効求人倍率は0.68でございます。安定雇用、正社員を望む人たちにしっかり正社員にできるような政策誘導をしていく必要があると思っております。 また、最低賃金も1,000円、平均1,000円以上引き上げるべきだと思っています。 角谷:はい。山口さん、いかがでしょうか。 山口:民主党政権のGDP5%というのは、リーマンショックのあと、われわれの政権で補正予算を作り、本予算を作った。その対応策が効いているという部分も寄与していると思います。また、安倍総理のおっしゃったさまざまな指標に、この2年間の取り組みのいい結果というものが現れてきていると思います。 また雇用の点については、団塊の世代が大人数、今、リタイアの時期を迎えております。しかしこの世代も非正規によって定年後も職をつないでいけると。だからこの部分の非正規が増えていると、そこの実態を見る必要があります。また若い人たち、高卒、大卒の方の内定率、就職率は増えております。この世代はむしろ、正規雇用が増えるというところに寄与しております。この雇用の実情というものをよく見て、これからも非正規が正規雇用につながるように努力しなければなりません。 そしてこれからの経済は地方へ。そして中小、小規模企業へ、さらには家計へと、この努力をしてまいります。 角谷:じゃあ、海江田さんいきましょうか。 海江田:今、正規雇用の人たちを増やすことが大事だというお話、ありましたけれども、実は先だってのこの国会、解散によって閉じました国会で何を自民党と公明党が提出をしてきたかというと、これは労働者派遣法の改悪案を出してきたんですね。これで若い人たちで、派遣で働いてる人たちは一生派遣だと。派遣ということになるとやっぱり賃金も低いわけですよ。だから本当にこの正規の雇用の人たちを増やそうと思うなら、やっぱりそういう法律は出さないことでありますし、むしろ正規の雇用をどんどん減らして、そして非正規を増やしていく方向にこの間ずっとやってきたということ。自民党がやってきた、安倍政権が進めてきたということ。そのことはさっきの話、出ました、やっぱり有効求人倍率1倍超えてるといいますけれども、正規の雇用、正社員の人たちは0.68ですからちっとも良くなってないんですね。ここのところの問題をやっぱりきちっと考えなければいけないと思っています。 角谷:じゃ、安倍さんいきましょうか。 安倍:2年前を思い出していただきたいと思うんですが、行き過ぎた円高によって根っこから仕事がなくなっていたんです。民主党政権時代はまさに職そのものがなくなっていた。正規の方々の有効求人倍率、まだ低い水準だとおっしゃっていますが、これ、統計を取って、過去、それでも最高なんです。同時に、新規の求人倍率については1、正規の社員の方々の新規の求人倍率は1になりました。このように、われわれはしっかりと政策を前に進めていくことによって、正規の職員の方々、正規の職の方々についてもちゃんと仕事を創りはじめています。 また改革についても電力については法律が通りました。2年後については小売りも生産も自由化されていきます。また医療においてもそうです。患者さんが申し出を行えば先端医療を保険適用とともに受けることができるようになりました。これ反対を押し切ってしっかりと前に進めてまいりました。 角谷:はい、小沢さん。 小沢:日本経済の6割以上は個人消費なんですね。ですから景気を良くしようとしたら、個人の収入を増やして消費を拡大する以外ないわけです。今、話題になってますけれども、雇用の点につきましても非正規社員では将来の身分保障もありませんし、収入も少ない等々で、本当に生活が将来まで安定しているという感じは誰も持たないんですね。ですから消費は増えるはずはない。 それから農村において象徴的なのは米価が急落しております。従ってそういう中では農家も、あるいは農村地域も消費が増えるという、景気が良くなるということはないわけですね。ですから、そういう大事な国民生活の分野ではきちんとセーフティネットを作って、それの上で個人消費を上げるようにするということが大事だと思います。 角谷:じゃあ、江田さんいきましょうか。 江田:確かにお金は流しましたが、これは景気が本格的に回復してそれで国民の皆さんの給料が上がることが肝心ですね。そのためには物、サービスを動かす。実体経済を動かす。これがまさに成長分野、規制改革をして新しい血を入れる。新規参入させていく。しかし農業で減反廃止、それは名ばかり廃止ですよ。転作奨励金出して、実際上、転作を促して減反をしてるようなもんですね。株式会社が農地を取得して参入できるようになりましたか。なってませんね。電力の再編・自由化。確かに法律は通りました。しかしこれ、電力会社の影響下に、送電線分離するといっても、置かれたら、この前見たのは新エネの接続拒否みたいな事態が起こるわけ。完全にわれわれ維新の党は切り離して、影響力のないところで太陽光発電、LNG火力発電、そして風力発電、小さな地域分散型のローカル発電をやっていけば、これはもう地域で、今、過疎で困っている地域で雇用が生まれ給料払えるようになる。これが本当の地方創生、そして経済再生だと思ってます。 角谷:じゃ、志位さん、いきましょう。