<ネット党首討論>(2)アベノミクスをどう評価する?【全文書き起こし&動画】
志位:私は、安倍さんがよく言う、大企業がもうければいずれは国民の暮らしに回るという考え方自体が誤っているということを、事実が証明したと思うんですね。私はここを切り替えて、285兆円まで膨らんだ大企業の内部留保の一部を活用して、国民の所得を増やすという政策に転換する必要があると思う。そのために政治家が成すべきは、非正規から正社員への流れを強くする雇用のルールを作る。長時間過密労働を是正する。あるいは中小企業の手当てをしっかりやりながら、最低賃金を大幅に引き上げる。ブラック企業はなくしていく。それから中小企業に対する下請け単価を適正なものに引き上げて、中小企業で働く人も所得を増やしてく。国民の所得を増やす改革が必要だと思います。 それから消費税10%は、先送り実施じゃなく中止ということを強く求めたいと思います。 角谷:山口さんどうぞ。 山口:賃金の上昇は政労使の協議の場を設けてこれが促されてまいりました。雇用の増大も同様であります。そして、成果がこの春から賃金ベースアップ、あるいは賞与等、結果として名目の賃金が上がってきております。さらに来年も、この秋に政労使の協議の場を設けて、来年の春闘でも賃金を上げる必要があるというのが使用者側の認識でありまして、ぜひこれを実行していかなければならないと思います。その上で、大企業から中小企業、小規模企業に仕事を流していく。そういうことも同時に促しているわけでありまして、そうした取り組みがこれから効果を上げていくと思います。 また、賃金によらない所得で生活している方々もいるわけですから、そこに対する支援というものを緊急経済対策でやってく必要があると思います。賃金上昇が物価に追いつき、追い越すと、これを連立政権で推進したいと思います。 角谷:安倍さん、いかがでしょう。 安倍:はい。例えば今回は、先ほど申し上げましたように4月に2%賃金が上がりました。同時に例えば、パートやアルバイトで頑張っている皆さんの時給は1,050円と、これも統計を取ってから最高になっているわけであります。そして先ほど派遣法の改正についてお話がありました。派遣ではなくてしっかりと正社員で働きたいという方が派遣で仕事をしている方の半分ぐらいおられます。一方、自由な働き方をしたいという方々もおられるわけであります。正社員になりたいという方々に対しましては、しっかりと派遣元に対して3つの義務を今度は課しています。そして、派遣で働いている皆さんについてはその派遣の待遇を改善をしていく、そういう対応をしていきます。キャリアアップをしっかりと応援をしていきたい。同時にやっぱり多様な働き方に対応した労働法制に変えていく必要があると考えています。みんなが望む働き方、そこで輝ける社会をつくっていきたいと思います。 角谷:海江田さん、いきましょうか。 海江田:今の話ですけれども、多様な働き方を私たちはまったく認めないわけじゃありませんけれども、その場合は前提として、同一労働同一賃金というのがやっぱりこれは世界的なもう考え方なんですよ。日本はその点はまったく遅れている。今回、国会で私たち民主党とこれは維新の党も一緒にこの法案出しましたけれども、自民党は一顧だにしなかったということ。 それからもう1つ、これは円安の問題というのもやっぱり今回のこのアベノミクスの副作用の面で大変大きなものがあるわけですね。先ほど倒産が減ったというお話がありましたけど、去年から今年にかけて、とりわけ今年に入って円安による中小企業の倒産が一挙に去年の3倍近くになっています。それから、まさに国民が自分は恩恵被っていないというその一番大きなものは、やっぱり円安によって物価が上がっているということ。このことが非常に大きいわけですから、その点にやっぱり目をつぶってしまってはいけないと思います。 角谷:じゃあ、志位さんお願いします。 志位:先ほど派遣法の問題、議論になりました、与党が出した労働者派遣法の大改革というのはとんでもない内容だと思うんですよ。これまでの派遣法というのは、ともかく派遣労働というのは臨時的、一時的なものに限るんだと。で、常用雇用もだいたいしてはならないんだと、大原則があったわけですね。これを取り払ってしまって、そして原則1年、最長でも3年という期間制限も取り払ってしまって無期限に派遣が使い続けられるようになるわけですから、これは生涯派遣と、正社員ゼロという批判が出るのは当たり前なんです。こういうことをやっときながら、賃下げ政策をやっときながら賃上げ進めるっていうのは、これは言ってることとやってることが違うと。私は、派遣法は抜本改正して派遣労働は本当に一時的、臨時的なものに限る。そして均等待遇のルールをきちんとする。そのことによって正社員が当たり前の社会にしていく。これが政治の責任だというふうに思います。 角谷:江田さん、いきましょう。 江田:さっき海江田代表がおっしゃったように、われわれも働き方の多様性を認めながら働く者の立場を守るという意味で、正規、非正規かかわらず同一労働同一賃金、それから、経済セクターは好むと好まざるとにかかわらずグローバルなんです。国際大競争なんです。そこは市場主義、自由主義でやっていく。しかし、そこからドロップアウトした方々、これは手厚いセーフティネットで救うということが大事だと思うんです。スウェーデン、例えば、ボルボ、サーブ、つぶしましたね。しかし、そこの大失業者はしっかり国のほうで職業訓練をやって、そして次の就職先まであっせんするようなこともやっている。われわれの目指す、このまさにセーフティネット、経済政策っていうのはこういう北欧型のものを目指していきたいと、そういうふうに思っています。 角谷:安倍さん、いきましょうか。 安倍:先ほど海江田さんが円安による倒産というお話をされました。例えば2年前は、円安による倒産っていうのはありませんよ。だって円高なんですから。ですから、その比較はまったく間違っているんだろうと、このように思います。ですから大切なのは絶対数であって、われわれは民主党政権時代よりも2割、倒産を減らしています。同時に先ほどお話がございました、志位さんからお話があった残業代ゼロ、それはまったくそんなことはあり得ない。 海江田:まだ言ってません。 志位:その話してませんよ。 安倍:残業代ゼロではないですけど。 志位:派遣労働の問題。 安倍:え? 志位:派遣労働の問題、言ったんです。 安倍:派遣労働の話ですね? 志位:はい。 安倍:派遣労働についてはしっかりと私たちはキャリアアップについても支援をしていきますし、望んだ方については望む方向において状況が改善していくようにわれわれは全力を挙げていきたいと、このように考えております。 同時にまた、先ほど江田さんからお話がございました、いわば改革については、われわれはすでに農業においても農業改革、60年やってなかったことにちゃんと手を付けているということも申し上げておきたいと思います。 角谷:じゃ、海江田さんいきますか。