通常国会を乗り切れるか?参院選の行方は? 石破政権を襲う「2025年の政局」3つのシナリオ
さらに、通常国会の最終盤で野党側が内閣不信任案を提出し、多数で可決される可能性もある。内閣は総辞職か衆院の解散かという選択を迫られる。解散に踏み切れば衆参同日選挙という大波乱もありうる。 ■石丸氏の動きに対する有権者の反応も注目 以上、列挙したような政治状況下で、6月下旬にも予定される東京都議会選挙では、昨年の都知事選で注目された石丸伸二・元広島県安芸高田市長が新党を結成して挑戦する。有権者の反応が注目される。その後、7月20日投開票の予定の参院選が天下分け目の戦いとなる。
定数248のうち半数の124議席が改選で、東京選挙区の非改選の欠員1を含めた125議席を争う。自公の非改選は計75議席なので、自公で計50議席を確保すれば過半数に達する。逆に自公で50議席に届かなければ、衆参両院で与党が過半数割れとなる。 参院選は、①自公が過半数維持なら、石破首相(もしくは後継の首相)が続投し、自公政権が続く、②自公が過半数を割り込めば、石破首相(もしくは後継の首相)が退陣し、場合によっては政権交代で非自民連立政権が誕生する――という意味で、日本政治の重大な分岐点となる。
参院選の行方を左右するのは、経済情勢と内閣支持率だ。ロシアによるウクライナ侵略以来続いてきた資源・食料価格の高騰が世界的なインフレにつながり、日本国内でも物価高から賃上げにつながった。デフレからの脱却は進んだが、インフレは庶民の生活を直撃。貧富の格差拡大への不満は政権与党への批判に直結し、先の総選挙での自民党惨敗をもたらした。 そうした中で、石破政権が有効な経済対策を打ち出せるのか。2025年度の政府予算では年金や子育てなどの微調整策が盛り込まれているが、国民の将来不安を払拭するような対策は講じられていない。今春も賃上げが続く環境を築き、物価高対策も打ち出し、中長期の成長戦略や財政再建策を明確にする。石破首相にそうした構想力が欠けているのは明らかだ。