通常国会を乗り切れるか?参院選の行方は? 石破政権を襲う「2025年の政局」3つのシナリオ
維新は自公両党と教育費無償化の協議を進めており、自民党内では、教育費無償化に向けた予算案の一部修正で賛成に取り込む方策が検討されている。ただ、いずれの場合でも少数与党という構図は変わらない。 ■国民民主、維新との連立に動く? 第2は、少数与党の自公が連立に踏み出す展開だ。国民民主党や維新との話し合いを進めて「自公+国」か「自公+維」の連立となれば、衆院で過半数が確保され、政権は安定する。しかし、実際には7月の参院選を控えて、国民民主党も維新も独自色を発揮したいのが本音。両党とも、自公との連立には慎重論が根強い。
立憲民主党とのとの大連立という「大技」を狙う動きが自民党内の一部にはある。大連立なら財政再建や社会保障改革、選択的夫婦別姓に向けた民法改正などの懸案を一気に解決できるというのだ。 しかし、参院選での与野党逆転を狙う立憲民主党内には呼応する動きはほとんどなく、現実味は乏しい。 第3は、政権が行き詰まり、石破首相が退陣を余儀なくされる流れだ。予算案の採決に野党側が反対の姿勢を崩さず、否決の公算が強まった場合、石破首相の退陣と引き換えに予算案の一部修正可決となる可能性がある。
自民党内でも「石破首相の下では参院選が戦えない」という声があり、石破氏に代わる新たな総裁を選ぶことになる。昨年の総裁選に出馬した林芳正官房長官や高市早苗前経済安保相らが名乗りを上げそうだ。自民党は新総裁・首相の下で「党再生」をアピールするだろうが、裏金問題で失った信頼の回復は簡単ではない。 通常国会の与野党攻防の中では、例えば野党が一致して企業・団体献金の禁止を盛り込んだ政治資金規正法の改正案を衆院で可決させても、自公が過半数を占める参院で否決されて廃案になる展開も考えられる。その場合、立憲民主党などの野党側は「企業・団体献金を禁止させるために参院選で自公の過半数割れを実現しよう」と気勢を上げるに違いない。