青木宣親、球史に残るヒットメーカーの打撃の秘訣「左手の使い方を覚えてヒットが出始めた」
◆フラットに振るためのバットの握り方
くわえて、スイングをフラットにするためにもうひとつ、青木ならではの大事なポイントがあった。 栗山:「バットの握りっていろいろあるじゃないですか。どんな感じなんですか?」 青木:「自分は左手がちょっと特徴ありますね。人差し指と親指の間ぐらいで押すようなイメージですね。普通は中指と薬指と小指で握るんですけど、その握り方だと変な力が入って、バットを振る時に左の肘が出そうになるんです。左肘が入りすぎて下から出るような感じになっちゃうので、やっぱりヘッドを立たせたいと思って、この握り方になりました」 栗山:「ちょっと抑えられるイメージですかね」 青木:「そうですね。ちょっとヘッドが下がるなと思えば、右手と左手の間を開ける時も。ちょっと開けたらヘッドって立つんですよ。剣道と一緒ですね」 青木は、バッドを握る左手も独特。親指と人差し指でバットを握り、残り3本の指は緩め。 こうすることで、内側からバットを出し「ヘッドを立てる」感覚が持て、フラットなスイングがしやすくなるという。
◆「体の仕組みをわかると全然変わってきます」
そして再び話は、誰もが参考にできる、左肘を理想的に使うためのポイントについて。 青木:「自分流じゃなくて、誰にでも当てはまるようなことを言いますけど、肘の位置を良い位置にするには、肩の位置が下にないとダメなんです。肩甲骨を下に下げないと」 栗山:「なるほどね。肩甲骨が上がっちゃダメなんだ」 青木:「例えば肩を上げると、肘って絶対近くにいかないですよね」 栗山:「離れます」 青木:「絶対離れるんですよ。肩を下げると肘の位置は下にいって(バッドは)内側から出るんです。これ、実はみんなわかっていないことで」
栗山:「確かに肩を上げたら肘は離れますね」 青木:「そうなんです。ピッチャーもそうなんですけど、肩甲骨が上がると肘は上がらないんです。よく『肘を上げろ』って言いますよね。あれは肩甲骨が下がっているから肘が上がるんです。これをわかっているだけでも随分違います。結構多いんですよ」 栗山:「でもあんまり言わないですよね、青木さん」 青木:「現役だったのでやっぱり言わなかったです(笑)。今はもう引退したので、全然いいんですけどね。肩甲骨を下にしないと肘が内側から出ないというのはわかりましたよね?」 栗山:「はい、わかりました」 青木:「そういうふうに体の仕組みがわかると全然変わってきます。よく後輩たちも『青木さん、手の位置どこですか?』とかいろいろ聞くじゃないですか。そういうことを話してやると理解しやすいですね」 ◇ 青木×栗山対談、後編のテーマは「超一流選手になるために後輩たちに伝えていること」。