青木宣親、球史に残るヒットメーカーの打撃の秘訣「左手の使い方を覚えてヒットが出始めた」
プロ2年目の2005年。4月終了時点での打率は2割3分と、青木はバットにボールを当てることすらままならず、武器である足を活かすこともできずにいた。 そんななか、バント練習中にあることを発見。それは、ボールを転がすにはバットの向き以上に、バットのどこに当てるかが大事だということ。 それに気づいてから、いかにしてバットの芯で捉えるかを考えるようになったという。 さらにそれから4年後の取材でも、栗山はもうひとつ、青木のバッティングの極意を聞いていた。 栗山:「(2010年のインタビューで)『ボールに対してバットを後ろから面で入れる』『フラットに振る』という表現をよくされていましたけど、あれは野球界的にすごくインパクトがありました。やっぱりそういうところから繋がっていくんですか?」 青木:「そうですね。どちらかといえば自分はあまりトップが深いタイプではなかったので、バットに対して手が真っ直ぐ張れないんですよ。ちょっと後ろ目からバットを振るぐらいで」 栗山:「張りができる?」 青木:「多少そうですね。そんなイメージが当時はありました。ちょっと後ろ目(キャッチャー側)からバットを振るような感じにすると、手が(キャッチャー方向へ)少し張れるというか」
2010年のインタビューで、青木はこんな言葉を残していた。 「ボールがまっすぐ来るのに対して、後ろから面で入れてあげるというか、そういう意識はあるんです。後ろから入れるということは、それだけフラットに振る。当たるポイントがいくつもあれば、ヒットを打つ確率も高くなる」 追求してきたのは、ボールの軌道に対して、バットを平行に入れる「フラットなスイング」。 かつては基本とされ、青木も一時採り入れていたダウンスイングは、ボールを捉えるポイントが点になってしまう。一方、フラットなスイングは、ボールをミートするポイントが増え、芯に当たる確率は格段にアップ。ヒット量産に繋がるという。 このスイングこそが、青木が引退するまで追求し、球史に残るヒットメーカーになった秘訣だった。